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第537回

(株)エフ・ジェイエンターテインメントワークス 運営本部キャナルシティ博多事業部支配人 池上英樹氏


目的来館を取り込み業績拡大
25年には新飲食エリアを開業

2026/9/1

(株)エフ・ジェイエンターテインメントワークス 運営本部キャナルシティ博多事業部支配人 池上英樹氏
 (株)エフ・ジェイエンターテインメントワークス(福岡市博多区)が運営する「キャナルシティ博多」が業績を伸ばしている。福岡市の商業施設の中でもインバウンドを強みにし、特にシューズやIP系の集積度が高いため、これらのテナントが好調だという。2025年には名店を集めた飲食エリアをオープンし、食を切り口にした集客も進める。同社の運営本部キャナルシティ博多事業部支配人(所属先、役職は取材時点のもの)の池上英樹氏に話を聞いた。

―― キャナルシティ博多の概要は。
 池上 1996年に開業した映画館やホテルなども入る複合型商業施設で、テナントは約180店を設けている。「都市の劇場」というコンセプトで、施設中央部にある噴水広場でのショーをはじめ、アーティストやアイドルのイベントなども積極的に開催している。
 近年、客層はインバウンドの割合が高まり、全客数の約35%を占める。従来は大型バスを止められることや、福岡市にクルーズ船が頻繁に寄港していたこともあり、団体旅行のお客様が買い物場所としてキャナルシティ博多をよく利用されていた。最近はクルーズ船による団体客が少ないものの、個人旅行者に利用していただいている。

―― 業績について。
 池上 売上高や来館者数は公表していないが、コロナ禍が明けた23年度から前年度の業績を超える状況が続いている。23年5月に「キャナルシティ博多 イーストビル」を一時閉館しているにも関わらず業績が拡大し、既存エリアの売上高や単価がかなり伸びている。

―― 好調なテナントや業態は何ですか。
 池上 インバウンドの来館が増加した影響もあり、シューズやIP系の商品を販売するテナントが好調だ。当施設では「Alpen FUKUOKA」「ABC-MART」「ムラサキスポーツ」が出店していることに加え、25年には「オニツカタイガー」を従来区画よりも3倍程度広い区画へ移転リニューアルしたことで、さらに売り上げを伸ばしている。シューズが人気な背景として、ナイキやアディダスなどは認知度が高いブランドを揃えているほか、円安によるインバウンドのまとめ買いが単価の向上・売り上げを押し上げている。
 IP系のテナントも好調だ。「バンダイナムコ Cross Store 博多」をはじめ、福岡県の中でもIP系の店舗が多く出店しているので、平日でもオープン前に行列ができるほどだ。25年は映画のヒット作が多かったことから、その相乗効果でIP系のテナントの売り上げを押し上げた印象がある。

―― 近年は飲食店も強化されていますね。
 池上 23年ごろにコロナ禍が明けて、お客様の消費行動が、好きなもの・ことにお金をかける人が増える傾向を受け、食にこだわりのある人、お金をかけてでも美味しい料理を食べたい人に、食を目的にご来館いただきたく、グルメストリート「KUOHKA(くおうか)」を25年7月にオープンした。KUOHKAは福岡の人気店や東京などでなかなか予約が取れない名店を集積した美食屋台街をコンセプトに、21店を展開している。
 メニューは本店よりもリーズナブルな価格で取り揃え、美食家まではいかなくても、食に興味があり、美味しい料理のためならある程度お金を払ってでも食べに行きたいという顧客層を取り込む。KUOHKAの約1年間の業績としては堅調に推移しているが、認知度向上やターゲット訴求をさらに強化して伸ばしていきたい。


―― 地下鉄延伸や天神エリアの再開発などによる変化はありますか。
 池上 大きな影響はない。23年に福岡市地下鉄七隈線が延伸し、キャナルシティ博多の前に新駅が完成した。これで利便性は向上し、インバウンドの増加に寄与したと思うが、イーストビル閉館もあり、それによって客数が大幅に増え、売り上げが伸びたというデータはない。同様に、天神エリアの再開発による影響もあまりない。背景としては、キャナルシティ博多への来館目的自体が、日常使いよりも映画館やイベントなどの非日常を求めて訪れるお客様が元々多く、天神エリアの商業施設が減ったからといって、人流に大きな変化は感じられない。

―― 今後の展開は。
 池上 今、キャナルシティ博多で最も求められているのは、さらなるエンターテインメントの強化だと思っている。「都市の劇場」というコンセプトに沿って、IPを中心とした大規模な集客イベントを年に数回開催し、キャナルシティ博多のエンターテインメント性を訴求して賑わいを創出していく。そして、イベント目的にご来館いただいた人が館内でお買い物や食事をされる。こうした好循環を生み出し、館全体を盛り上げていきたい。



(聞き手・北田啓貴記者)
商業施設新聞2653号(2026年7月7日)(3面)

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