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第650回

シャオミー、26年売上高はついに10兆円超えへ


スマホ+家電+EVのITハード大手に飛躍

2026/4/24

中国各地に展開しているシャオミーショップ(上海のシャオミー店舗で撮影)
中国各地に展開しているシャオミーショップ(上海のシャオミー店舗で撮影)
 2010年にスマホベンチャーとして誕生したシャオミー(小米科技、北京市)は、低価格かつ高性能のスマホ直販モデルで急成長した。その後はスマホを主軸に家電へ事業を拡大し、24年にEVにも参入を果たす。26年は「スマホ+家電+EV」の三本柱で、売上高は10兆円を超える見通しだ。25年にはEV事業が生産・販売から2年で黒字化に成功した。日本でのスマホ販売開始を足がかりに、将来は日本市場でもADAS搭載の競争力あるEV投入が見込まれる。

■創業から16年が経過したシャオミー

 シャオミー(小米科技)は中国の新興スマホ企業として2010年に設立された。中国のソフトウエア大手のキングソフト(金山軟件)のレイ・ジュン(雷軍)董事長や、グーグル中国やモトローラー北京の元幹部などが創業した。11年8月に1999元(約2.4万円)の低価格スマホ「MI」を発表。低価格ながら、米クアルコム製のデュアルコアのAPやシャープ製4インチ液晶パネルなど、当時としてはハイスペック部品を搭載。自社でネットの直販サイトを運営し、スマホの価格破壊を起こした。割安な価格でハイスペックな端末を販売するマーケティングが奏功し、新興メーカーながら急成長した。ちなみに、スマホ販売を軌道に載せた初年の12年に126億元(当時の換算レートで約1595億円)を売り上げた。

 14年にインドのスマホ市場に進出し、14年の売上高は743億元(同1.3兆円)となり、2年で6倍弱に成長した。16年には家電販売も始め、翌年の17年の売上高は1146億元(同1.9兆円)に増加。そこからインドのスマホ販売、中国内のスマホと家電販売を増やし、21年の売上高は3283億元(同5.6兆円)に拡大した。22~23年は新型コロナ期間にあたりコンシューマー製品の販売が停滞したが、24年に電気自動車(EV)の生産と販売に参入してV字回復(売上高は3659億元、同7.7兆円)した。


■スマホ+家電+EVのハード三本柱に

 シャオミーは25年、4572.8億元(約9.5兆円、前年比25%増)の売上高と391.6億元(約7945億円、同43%増)の純利益を計上した。世界のスマホ市場は停滞しているが、スマホから家電、EVへと製品群を広げ、しかも業界相場よりも割安で高性能の商品を供給する信頼感が定着し、シャオミーは群を抜いた増収増益を果たした。

 そのうち、スマホ部門は3512.1億元(同7.3兆円、同5.4%増)だった。インド市場などでは出荷減となったが、世界市場では高性能なカメラ機能を搭載したハイエンドスマホの販売を増やし、出荷台数は2%減少したものの販売総額は5.4%増加した。また、家電部門の売上高は1232億元(同2.5兆円、18.3%増)で過去最高を更新した。とくにエアコン販売が24%増、洗濯機は18%増、タブレット端末は30%増、ウエアラブル端末は30%増と好調だった。欧州のスマート家電市場に参入したことも押し上げ効果につながった。

LEICAと共同開発した高性能なカメラ機能を搭載したフラッグシップスマホ(上海のシャオミー店舗で撮影)
LEICAと共同開発した高性能なカメラ機能を搭載したフラッグシップスマホ(上海のシャオミー店舗で撮影)
 EVとAIなどのイノベーション部門は1060.7億元(同2.2兆円、同3.2倍)の売上高を計上した。このうちEV単体では1033億元(同2.1兆円、同3.2倍)を売り上げた。25年には41.1万台のEVを納車。EV部門は24年の生産・販売開始から翌年の25年に黒字転換(営業黒字は9億元、約181億円)を果たした。

■家電に参入して10年が経過

 シャオミーはスマホベンチャーとして誕生し、その後はスマートテレビやタブレット端末、ノートパソコンなどデジタル家電を次々に商品化し、PM2.5で大気汚染が問題になると空気清浄機を発売。それから電気炊飯器や掃除ロボットや電動歯ブラシ、冷蔵庫、エアコンなどの総合家電メーカーとなった。

 これまでに扱った製品は、①モバイル製品(スマホやタブレット端末、ノートPC、スマートウオッチ、スマートブレスレット、モバイルバッテリーなど)、②AV製品(スマートテレビやOTTボックス、ワイヤレススピーカー、VRヘッドマウントディスプレーなど)、③ホーム家電(空気清浄機や浄水器、IH電気スチーム炊飯器、電気ケトル、掃除ロボット、エアコン、洗濯機など)、④スマートホーム製品(無線ルーターやガス検知器、人体感知センサー、温度・湿度センサー、スマートコンセントなど)、⑤ヘルスケア製品(電動歯ブラシや血圧計、体重計など)、⑥その他(スーツケースやドローン、電動自転車、一眼レフのデジタルカメラなど)と多岐にわたる。

小型キッチン家電以外にもエアコンなど大型家電も取り扱う(上海のシャオミー店舗で撮影)
小型キッチン家電以外にもエアコンなど大型家電も取り扱う(上海のシャオミー店舗で撮影)
 シャオミーは18年にキッチン家電の拡充を進めた際には、パナソニックが三洋電機を買収後に三洋電機で電気炊飯器を開発していた技術者チームをヘッドハンティングし、いち早くIH電気スチーム炊飯器を商品化した。同年に矢継ぎ早に電子レンジやオーブンも発売し、その後は洗濯機やエアコンなどに製品群を広げた。家電に参入してから10年が経過し、現在では家電の売上高はスマホの売上高の1/3規模になっている。

■24年にEVの生産・販売に参入

 シャオミーは22年3月、EV(電気自動車)製造への参入計画を発表した。その後10年間に100億ドル(約1.1兆円)を投資する計画や雷軍CEOが小米汽車のCEOを兼任したことなどからも、同社の本気ぶりが伝わる。

 そして24年4月に同社初のEV「SU7」の販売を開始した。最上位の「Maxモデル」で、ほかの2車種とは違い車体の前後にモーターが各1基(計2基)搭載されているAWD(全輪駆動)車だ。モーターの総出力は495kW(673ps)、トルクは838Nmで、内燃機関であれば4LクラスのV8ターボに匹敵するパワーを持つ。

 私はこの時に試乗体験したが、「時速100kmまで2.78秒で加速する」というスタッフの説明のとおり、直線コースでアクセルを一気に踏み込むと体が座席に深く押し付けられるジェットスタートを体験できた。ちなみにMaxモデルの最高速度は265kmである。

 MaxモデルはエヌビディアのSoC(システム・オン・チップ)の「Drive Orion-X」2個(演算能力は計508TOPS、TOPSは毎秒1兆回を演算)、871VのSiCインバーター(インフォニオン製)を搭載。電池はCATL製のCTB(セル・トウ・ボディー)の三元系リチウムイオン電池(LiB)の「麒麟」(電池容量は101kWh)を搭載。最大電圧は871Vで15分の急速充電で510kmの走行を可能とし、フル充電時に800kmまで走行できる。

 「SU7」はADAS(先進運転支援システム)を備え、高速道路上でのNOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)に対応している。主要10都市の市街地でのNOA(信号や右左折、工事などによる車線減少など)に対応し、24年8月には中国全国に範囲が広がった。Maxモデルの販売価格は29.99万元(当時の換算レートで640万円相当)だった。その翌年の25年6月には、さらに上位車種となる「YU7」を発売した。テスラの対抗馬として中国市場で人気を集めている。

流線型でスポーティな外観のSU7(上海のシャオミー店舗で撮影)
流線型でスポーティな外観のSU7(上海のシャオミー店舗で撮影)
 シャオミーがネットでスマホを直販する事業モデルでスマホ業界に参入してきたのは10年のことだ。それから約15年が経過し、シャオミーはデジタル機器から白物家電までを含む総合家電メーカーに成長した。さらに、IT業界の主戦場となる自動運転車の世界に参入している。中国企業のBYDはすでに日本市場でEVを販売しているが、シャオミーは19年から日本でスマホを販売をしており、これが布石となり、将来的に日本の自動車メーカーで提供できない価格帯でADAS機能を搭載した高級EVを日本市場に投入してくることだろう。

電子デバイス産業新聞 編集部 記者 上海支局長 黒政典善

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