電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第123回

リバーフィールド(株) 代表取締役 原口大輔氏


空気圧手術支援ロボの開発を推進
3~4年後の上市が目標

2015/6/5

リバーフィールド(株) 代表取締役 原口大輔氏
 リバーフィールド(株)(東京都新宿区西新宿7-3-4、Tel.03-5332-8250)は、2014年5月設立の先端医療機器ベンチャー。高度な空気圧制御技術をコアに、手術支援ロボットなどの開発を進めている。代表取締役の原口大輔氏に話を伺った。

―― 貴社の概要から。
 原口 当社は、東京工業大学の只野耕太郎准教授や川嶋健嗣客員教授(東京医科歯科大学教授)が長年研究している空気圧を用いた精密制御技術をベースに、東京医科歯科大学の医療分野のノウハウを融合した先端医療機器の製品化を目指している。具体的には「低侵襲手術+空気圧制御」をテーマに、内視鏡操作システムおよび次世代低侵襲手術支援ロボットシステムの製品化を進めている。

―― 内視鏡操作システムついて。
 原口 現在、内視鏡下手術を行う場合、執刀医とともに、スコピストと呼ばれる内視鏡を保持する助手を必要とする。しかし、意思疎通の難しさや疲労による手ぶれなどが課題となっている。そこで開発したのが執刀医の頭部動作により直感的に内視鏡を操作できる「EMARO(エマロ)」だ。エマロはスコピストの代わりに空気圧起動のロボットアームが内視鏡を保持。執刀医の頭部に角速度センサーを装着し、頭を動かすことでロボットアームが連動する仕組みだ。15年夏ごろの販売開始を見込んでおり、販売に関しては(株)ホギメディカル(東京都港区)の協力を得ながら開拓を進めている。

―― 手術支援ロボットの詳細を。
 原口 空気圧駆動によるロボットアームを備えた手術支援ロボットの開発を進めている。最大の特徴としては力覚提示機能を有することが挙げられる。つまり、アームの先端が臓器などに触れた際に、その感覚が執刀医にフィードバックされ、実際に触れているような感覚を得られるということだ。モーター駆動のシステムで、この力覚を得ることはセンサーを用いなければ難しく、当社製品の大きな優位性となっていくだろう。
 また、一般的に空気圧は細かい制御が難しいとされるが、当社の技術は空気圧駆動でも0.1mm単位の精度に対応でき、その点はまったく問題がない。

―― その他の特徴は。
 原口 空気圧駆動にすることで機構を軽量かつシンプルにでき、駆動部分の小型化を図ることができる。そのためコスト低減にもつながる。また、コンパクトなシステムを構築できるため手術前のセッティング時間も短く、執刀医をサポートする医師との協働もしやすい。

―― 改良点については。
 原口 ロボット自体の技術はほぼ完成の域に達しており、今後は実際の現場で導入・運用する際の課題を見つけ出し、解決していく作業に注力していきたい。また将来的には、ロボットに搭載する内視鏡や電気メスなどを開発する企業と協業していきたいと考えているので、ぜひお声がけいただければと思う。

―― 生産体制は。
 原口 ユニットなどの製造は外部に委託し、組立や検査など最終工程は自社で手がけていく。最終工程で行う空気圧制御システムの調整やソフトウエアの部分は当社のノウハウが詰まっている部分でもあり、事業が拡大した際にも自社で手がけていく。

―― 今後の方針・抱負を。
 原口 まずは今夏に予定しているエマロの販売に注力していき、手術支援ロボットは3~4年後の上市を目標にしている。将来的には欧米などの海外展開も視野に入れていきたい。また、人材面でも医療分野を中心にエンジニアの強化もしていきたい。一方、そういった事業拡大への取り組みとともに、公共性や公益性といった点も重視していきたいと考えており、成長産業として位置づけられている医療分野の発展に少しでも貢献できればと思う。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年6月4日号11面 掲載)

サイト内検索