思い出の場所の1つに川越がある。学生時代は食事、買い物など本当によく訪れた。特に「クレアモール」という商店街は、学生時代の多くの時間を過ごしたところで、楽しかった思い出がたくさん詰まっている。だが、社会人になってからは1度も行ったことがなかった。あれから十数年、久しぶりに行く機会があったので散策し、街の変化を感じてきた。
クレアモールはJR、東武東上線の川越駅近くにある。約1kmのストリートで、飲食店、アミューズメント、ファッション、雑貨などの店が集積している。東武東上線は大学が多いため、比較的若い人で賑わっていた記憶がある。メーンの通りは人が多く華やかな雰囲気だが、裏路地に入れば人通りもそれほど多くなく、美味しいお好み焼き屋、こだわりの居酒屋などがたくさんあった。また、学生時代に自分のなかで流行していたファッションはなぜかクレアモール周辺に集まっていたため、よくここを訪れていた。
今のクレアモールはどうなっているか。一言で言えば、何も変わっていなかった。変わったとすれば通りの中央に公園が整備されているくらいのもので、店の入れ替えなどは当然あるだろうが全体の雰囲気は当時のままだった。でも、それが心地よく感じた。街が発展していくと嬉しいと思う反面、変わりすぎてしまうと寂しさもある。よく行ったコーヒー屋もまだ残っていて、さらに当時働いていたスタッフも変わっていなかった。当然自分のことなど覚えていないが、街並みも人も変わっていない、この懐かしさがたまらなかった。
せっかくここまで来たからと、よく行っていたファッションの店も覗いていくことにした。その店は、ミュージシャンがプロデュースする洋服を置いている店で、当時、埼玉県内ではここでしか取り扱っていないブランドもあった。今のこの年齢になって着られるものではないが、学生時代は夢中になって買い漁っていた。だが、その店は閉店していて、跡形もなくなっていた。その店に通っていたのは何年も前の話なので、無理もない。そう思って周辺の店も回ったが全滅だった。この事実は学生時代の友人にすぐ連絡し、悲しみを共有した。
もちろん、新しい施設もそれなりにできている。丸広百貨店のANNEX館といった大型の商業施設や新しい飲食店なども出店している。印象としては居酒屋チェーン店が増えたと感じた。
また、現在のクレアモールでは地図を片手に歩く観光客の姿をよく目にした。クレアモールを抜けて少し歩くと、小江戸と呼ばれる昔の街並みが広がるエリアがある。以前から川越が誇る観光スポットなのだが、以前にも増して、そこを目指す人が多くなったと思う。観光客の増加で川越が潤い、街の発展に寄与してほしいと思う。
今回は学生時代編ということで川越に行ったが、今度は以前住んでいたあの街、この街もどうなったかを見に行ってみたい。