シークス(株)(大阪市中央区備後町1-4-9、Tel.06-6266-6400)は、商社機能を併せ持つ国内トップのEMSメーカー。車載・産業機器分野を中心に業績も好調に推移しており、2014年度(14年12月期)は過去最高の業績を達成した。代表取締役社長の桔梗芳人氏に今後の戦略などを伺った。
―― 直近の動向から。
桔梗 14年12月期は国内外で堅調に推移し、売上高が前期比1.3%増の2097億円、営業利益は同24.4%増の62億円となり、いずれも過去最高となった。分野別では、車載関連分野が好調に推移して全体の36.4%を占め、家電機器分野を超え当社最大のセグメントとなった。
当社は10年以上前から車載分野のEMS事業に取り組んでおり、そこで培った豊富なノウハウが顧客に評価され、多くの引き合いをいただいている。そのほか工業用ミシン、インバーター、医療機器関連などを扱う産業機器分野も堅調に推移しており、車載・産業機器分野が業績を牽引した。
―― 現在の拠点は。
桔梗 自社のEMS拠点としては、タイ、インドネシア・バタム島、中国・東莞、スロバキアに加え、10年にインドネシア・ジャカルタ、12年に中国・上海、13年にフィリピン、そして14年はメキシコの新拠点が本格稼働し、製造拠点の強化を積極的に進めてきた。この拠点拡充により顧客幅が広がったほか、グローバルで拠点を持つ自動車関連メーカーへの対応力が強化され、先に述べた車載分野の伸びにもつながった。
そのほか、フィリピンに台湾のCoxon(Coxon Precise Industrial)社と合弁で設立したプラスチック成形・金型製造拠点も14年11月から稼働を開始しており、より付加価値の高いサービスを提供できる体制が整った。
―― 新設したメキシコ拠点について詳しく。
桔梗 メキシコのサン・ルイス・ポトシに設立した拠点で、14年11月より量産を開始し、現在車載分野を中心としたEMS事業を行っている。稼働からまだ間もないが、想定以上の引き合いをいただいており、すでに新たなラインの増設工事にも着手している。
さらに隣接地も取得し、現在新棟の建設も計画している。予定では15年内に着工し、早ければ16年内に稼働を開始する。最終的には、敷地面積約2.9万m²、延べ床面積約1.5万m²規模の拠点となる見通しだ。
なお、15年12月期はこのメキシコ工場での設備増設などにより39億円の設備投資を計画している。
―― 15年12月期の見通しについて。
桔梗 15年12月期は売上高2200億円、営業利益73億円を計画しており、近年伸長している車載・産業機器分野が引き続き牽引役となると見ている。車載分野については、従来はカーナビやカーオーディオなどが多かったが、最近は制御系、LEDライト、センサー製品など取扱製品が拡大しており、その対応力をさらに強化していく方針だ。
産業機器分野についても、インフラ系、医療系、航空系など、対応幅をさらに拡大させていきたい。うち医療機器分野については、少量多品種かつ高度な技術も要求される製品も多いことから、現状では対応できるEMSメーカーは少なく、当社の強みが活かせる分野だと考えている。強化策として先端技術を持つ国内外の企業とのアライアンスなども積極的に利用し、17年には医療機器分野だけで100億円規模にしていきたいと考えている。
また当社は元来、電子部品・部材の商社ビジネスを展開してきており、グローバルに点在する拠点を活かし様々な部品調達ニーズに応えることができる。このビジネスについても一層の強化を図っており、当社としてEMS事業同様に重要なビジネスモデルだと考えている。
―― 中期的な展望を。
桔梗 中期的には17年12月期に売上高2800億円、営業利益95億円を目標にしている。分野としては車載・産業機器分野が牽引役となる構図は変わらず、各分野を深耕していくことで拡大できる余地がまだまだあると思っている。
ただ、それらの分野だけに注力するのではなく、IoT、スマートセンシング、ヘルスケアなど将来を見据えた新しい分野には常に注目し、当社が持つノウハウを活かせないかと目を光らせている。そういった分野の開拓も並行して進めることで、当社が目指すグローバルビジネスオーガナイザーとしての高度化を図っていきたいと考えている。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年4月16日号4面 掲載)