電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第644回

独自の強さを誇る京都企業


地元展示会で半導体特別展が開催

2026/3/13

 2026年2月18~19日に、京都ビジネス交流フェア2026「京都発・グローバルニッチ戦略展」が開催された。高度な加工技術や製品開発力を持つ京都企業の発信やビジネスマッチングを推進するため京都府などが主催している展示会で、ものづくり企業やAI、IoT関連企業が数多く出展している。今年度の開催からは、新たに半導体関連産業の企業を集めた「半導体特別展」も実施され、京都の半導体関連企業が集まって出展した。今回は、そのなかからトークセッションの内容と、出展企業の数社をピックアップして紹介する。

研究開発で強みを発揮する京都

 半導体特別展トークセッションとして、「半導体産業における京都ならではの強み」と題したディスカッションが行われた。京都には多くの半導体関連企業が集積しているが、装置や部品メーカーにとどまらず、これらの企業を支えるニッチな企業も多数活躍しているという京都の特徴が紹介された。また、アカデミアとの距離の近さも京都の素晴らしい点として挙げられ、今後京都への進出を検討する企業に対し、保有技術が活かせる個所をピンポイントで探し出し、ニーズに沿ってブラッシュアップしていくことが重要だとした。

 例として、商社およびメーカー機能を有する化学薬品販売会社の佐々木化学薬品(株)で代表取締役を務める佐々木智一氏は、同社がサプライチェーンのなかで商社機能として、薬品をメーカーと直接取引して1日単位で納品できることが強みとなっていると紹介。また、顧客が希望する内容に薬品の調合なども行う。メーカー機能としては、主に後工程向けに金属表面処理剤などの開発を行っているとし、狭い分野でもサプライチェーンを守っていると強調した。高まる需要に対しては、化学薬品プラントの減価償却には20~30年かかるとしたほか、高騰する電気代については政府による支援や負担がある他国を例に挙げ、薬品メーカーの状況について国内での投資の難しさを説明した。

 また、立命館大学 半導体応用研究センターのセンター長である金子健太郎教授は、近畿圏全体としてみた場合、半導体を含めた電子部品・デバイス・電子回路の製造品出荷額が20年連続で全国1位を誇る三重県や、水資源やアクセスの点で誘致の候補として現実的である滋賀県や大阪南部に対し、京都に工場の誘致は難しい点を挙げ、関連産業のなかで幅広い分野での研究開発の強化が今後ますます重要であるとした。

ニッチ製品で活躍する進工業

 なかでも進工業(株)は薄膜技術に特化し、薄膜抵抗器の開発を行っている。厚膜抵抗器に比べてニッチな薄膜抵抗器を主として展開。国産PCの1号機にも同社の薄膜抵抗器が用いられた。

 セラミック基板に抵抗ペーストをスクリーン印刷する手法を用いることで、低コストで量産性に優れる厚膜抵抗器に対し、薄膜抵抗器は半導体製造プロセス同様、金属薄膜をスパッタリングして形成し、その後の処理で抵抗値を調整する。これにより高精度で低ノイズであるほか、長期安定性や小型で省スペース化や高密度実装が可能となっている。

進工業の薄膜抵抗器
進工業の薄膜抵抗器
 同社の薄膜抵抗器のうち、薄膜面実装の金属皮膜チップ抵抗器は500Ω以上の大きな抵抗に対応し、半導体製造プロセスのうちすべての工程で使用されている。搭載員数は、前工程向けで1~5個程度から後工程や検査装置では数十万個搭載されるものもあるそうだ。特に、マスフローコントローラー向けでの国内シェアは100%を誇るという。そして現在は露光装置向けの製品開発を強化しているとのこと。

 そのほか宇宙や通信用途向けの高周波面実装部品や、電流検出用面実装では金属箔低抵抗チップ抵抗器などをラインアップしている。

そのほか独自の強みを持つ京都企業が多数出展

 有限会社オルテコーポレーションは、後工程装置向け消耗部品を取り扱っている。特にチップ搬送時に使用する部品の1つであるコレットは、半導体製造装置のあらゆる場所で使用されている。吸着してチップを搬送するもので、同社は半導体チップのサイズや材質、形状に合わせて最適化したコレットを提案することで、半導体チップ持ち帰りエラー(吸着したチップを搬送して載置する際にチップがコレット内に密着したまま解放されず持ち帰ってしまうトラブル)を削減し、歩留まり向上に貢献する。

オルテコーポレーションは様々なコレットを取り扱っている
オルテコーポレーションは様々なコレットを取り扱っている
 ゴム製、樹脂製、金属製のコレットを取り扱っており、設計も自社で担っている。そのためチップサイズやデバイスの特性などに合わせた最適なコレットの提案が可能だとしている。そのほか吸着ステージやコレットホルダー(ノズルホルダー)、吸着パッドなど、周辺部品の提供も行う。

 また、(株)オプト・システムは、光半導体および化合物半導体向けの加工装置と検査装置の設計、開発および販売、メンテナンスやアフターサービスを行っている。大手企業との差別化を図るため、顧客が希望する検査ニーズや予算に合わせたフルカスタムメードで設計から製造まで対応できる点が強みだとした。

 そのほか、主にレーザーを取り扱う(株)光響は、レーザーの活用で半導体分野に貢献しており、半導体製造プロセスにおけるレーザーの役割を紹介。今後、光部品が多く使用されるデータセンター関連での需要増加に期待しているとした。そのため現在はレーザー周辺の機械設計などについて、人材を求めているそうだ。

電子デバイス産業新聞 編集部 記者 日下千穂

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