商業施設新聞
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No.1023

福井で恐竜化石発掘と巨大大仏を満喫


笹倉聖一

2025/9/16

 福井県内陸部の奥越地域(大野市、勝山市)を7月末に訪れ、大野市で恐竜の化石発掘を体験、勝山市では巨大な越前大仏を拝観した。食事は名物の越前そばと醤油カツどんを楽しむ良い旅だった。

HOROSSAで化石を掘ろっさ!
HOROSSAで化石を掘ろっさ!
 北陸新幹線が福井・敦賀駅まで延伸してから1年半が経過し、関東や信州から多くの客が訪れるようになった。新幹線駅がある福井市、敦賀市、芦原温泉のほかに、奥座敷のような大野市、勝山市など見どころは多い。中でも大野市は化石の宝庫で、初期のティラノサウルス類の歯、アンモナイト、植物、貝など多種の化石が発掘され、重要な化石産地として注目されている。くずりゅう化石ラボ「ガ・オーノ」や、化石発掘体験センター「HOROSSA!」で、約1億2000万年前(前期白亜紀)から約4億4000万年前(シルル紀)まで、約3億年分の地球の歴史を体感できる。私もタガネとハンマーを握って、実際に化石発掘を体験してみた。「HOROSSA!」は2021年4月17日(恐竜の日)の開業で、同施設名は福井方言の「掘ろっさ」と掛け、掘ろうよ、掘りましょうを意味する。大野市内に分布する約1億6600万年前(中期ジュラ紀)から約1億3000万年前(前期白亜紀)の地層の岩石が持ち込まれ、化石発掘を体験できる施設になっている。

 体験料金は一般1350円で、軍手、ゴーグル、タガネ、ハンマーを借りて、まず石の目、あるいは石の凸凹した個所を探し、その個所にタガネの先端をのせる。次に握ったタガネの頭部を、ハンマーで最初はゆっくりと、後に少しずつ力を入れて叩いていく。すると石の目や凹凸に沿って石が割れ、断面に古代の植物や、海底にいた生き物の這い跡、二枚貝、ハチノスサンゴなどの化石が見つかる。その際に脊椎動物の歯・骨・ウロコ、特定の貝や植物などが現れると、研究に使用するため持ち帰りが許されず、ガ・オーノや県立恐竜博物館(勝山市)で保管・展示されることになっている。私の実際の体験でも、岩層に沿って石がうまく割れ、古代の植物らしきものが現れ感激した。「HOROSSA!」では、日本列島がまだアジア大陸の一部だった約3億年前までの歴史を辿ることができ、現在の西暦2000年代、21世紀という期間が短く思えるひとときだった。恐竜博物館がある隣の勝山市の化石と何が違うのかと係の人に尋ねると、「大野市では、陸だけでなく海底の動植物の化石が発掘され、より古い時代の化石があることが推定されている」との返答だった。

 次に訪問先を勝山市の大師山清大寺に移し、巨大な越前大仏および大仏殿を拝観した。大仏の高さは17mで、奈良の大仏より2m高いとのことで、その大きさに圧倒された。大仏殿内の三方の壁には、石仏、金仏の合計1281体が安置され圧巻の光景。越前大仏は、1987年の建立で比較的新しい。大仏本尊のモデルは、仏教伝来のルーツ中国河南省洛陽市の郊外にある龍門石窟の中にある毘盧遮那仏座像。勝山市で集客力抜群とされる恐竜博物館と並んで見応え十分だ。清大寺前には、門前町が広がり、観光客の旅情を誘う街並みづくりとして見事である。

 食事は、名物の越前おろし蕎麦、醤油カツどんを人気店で味わった。越前おろし蕎麦は、大根おろしと出汁がたっぷりとかかっている。醤油カツどんは、県内産の醤油をタレに用い、野菜がたっぷりと盛られているのが定義だそうだ。福井への旅の機会があればご賞味あれ。
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