半導体製造装置・材料の業界団体SEMIチャイナ(中国上海市)は3月17日から3日間、上海市で「セミコン・チャイナ」を開催する。2014年9月に中国政府の主導で2兆円超といわれるIC産業専門のファンド(大基金)が組成され、中国のIC産業は新時代に移ろうとしている。中国のIC業界に対する世界的な関心が高まっているなか、SEMIチャイナのアレン・ルー(陸※安、※は赤におおざと)総裁に今回のセミコン・チャイナの見どころと中国のIC産業の今後の展望について話を伺った。
―― 15年のセミコン・チャイナの見どころは。
陸 中国政府は半導体産業の底上げをするため、14年6月に今後15年間の長期に及ぶ発展指針を示した。その影響で中国の半導体業界は、新プロジェクトの立ち上げや企業買収など、にわかに活気づいている。セミコン・チャイナの出展ブースは、5年前には約1400小間しかなかったが、12年に約2100小間、15年は2800小間に拡大する。14年は5万人以上が来場したが、15年はこれを上回る勢いで、過去最大規模での開催になるだろう。
―― 出展企業について。
陸 海外で開催しているセミコン展示会と違い、半導体メーカーも出展するのが中国開催の特徴だ。ファンドリーのSMICやXMC、HLMC、OSAT(半導体の組立・検査の受託)のJCETや南通富士通、天水華天微電子などが出展する。いずれも今後、IC産業ファンドの融資を受けて大きく発展することが予想される中国のメジャー企業だ。製造装置や部材メーカーの出展も年を追うごとに増えている。例年どおり、パネル産業を専門とする「FPD・チャイナ」も併設する。
―― カンファレンスについて。
陸 カンファレンスの内容も中国の市場やサプライチェーンの実態に沿ったテーマを企画した。これまでも中古製造装置市場やLEDなど、中国ならではの企画を盛り込んできた。今回は中国のIC市場と政策動向や投資機会などについて紹介する「中国のIC市場と展望」(3月18日午前)や「IC産業と技術投資」(同午後)が特に注目を集めている。馬凱副総理のもとでIC産業の国家戦略の立案に重要な役割を担っている工業情報化部の周子学チーフエコノミストや清華大学微電子研究所の魏少軍所長などが中国のIC戦略について解説する。
また、中国国家集成電路産業投資基金の丁文武総裁、そのファンド運用会社の1つである北京亦庄国際投資発展の王暁波董事長、上海IC産業ファンドの運用会社のサミットビュー・キャピタル(武岳峰資本)の創設者の武平氏などが今後の中国のIC産業の展望について語る。
―― 日本企業へのメッセージをどうぞ。
陸 SEMIチャイナは14年4月、中国の半導体業界企業23社からなる訪日視察を実施した。東芝のNAND工場や装置メーカーの東京エレクトロン、アルバック、ディスコなどを訪問した。15年は7月に訪日視察を計画している。
日本には技術があり、中国には市場がある。中国政府は今後5年間、IC製造を20%成長させる。経済全体の成長率が約7%なのに比べて、非常に高い目標値を掲げている。今後、中国の半導体工場が日本製の高い技術力の製造装置や部材を購入する量が長期的に増え続けるだろうし、中国ファブレスから製造を委託するケースも出てくるだろう。
日中両国の半導体業界は今後、IC産業のサプライチェーンの各所で補完し合い、ともに発展し続けることができるはずだ。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年3月12日号1面 掲載)