2013年に設立されたNOVOSENSE Microelectronics Co., Ltd.(中国江蘇省)は、カーエレクトロニクス、太陽光発電、産業オートメーション、サーバー、電源、家電などの分野向けに、独自設計のアナログならびにミックスドシグナル製品をメーンに提供している。中国以外にも、日本、韓国、ドイツ、アメリカに子会社を設立しており、22年には上海証券取引所科創板に上場を果たした。東アジア・北米営業部部門長 日本営業部長の慎基徳氏に、ビジネスの概況、日本市場における成長戦略などについて話を伺った。
―― 24年に業績が大きく伸長していますね。
慎 24年の売上高は、前年比50%増の2億7000万ドルと2桁の高成長を果たした。そのうち、自動車事業の売上高は1億ドルで、累計出荷数は5億個を超えた。
車載製品のラインアップとしては、新エネルギー車(NEV)のパワートレインシステムから、車体制御、熱管理、バッテリーパック管理、インテリジェントキャビン、車載照明、動力システム、安全システムまで豊富に揃えている。
また、機能安全においては、ISO 26262:2018に準拠した開発能力を構築。25年初頭には、当社の機能安全管理システムは最高レベルのISO 26262 ASIL D Defined-Practiced認証を取得している。
さらに、品質に関しても包括的な管理システムを構築しており、組織能力とプロセスのIT化により、「不良ゼロ」の品質目標を追求し続けている。特に車載グレードのチップに関しては、部門間協力の組織から、車載製品に適合した品質システム、製品設計開発、生産プロセス制御、AEC-Q基準に適合した信頼性認証など、製品のライフサイクル全体にわたって、車載グレードのニーズに適した品質管理システムを構築している。
―― 注目の車載製品について。
慎 車載グレードの広帯域集積電流センサー「NSM211xシリーズ」は、統合設計を使用し、絶縁機能を統合している。システム設計を簡素化し、外付けの絶縁部品を必要とせず、システムコストと複雑性を低減している。正確な電流測定、広帯域に対応し、精度、帯域、絶縁性などの性能に優れ、ハイエンドアプリケーションのニーズを満たすことができる。
また、先ごろ当社では、車載照明システム向けの高集積SoC「NSUC1500-Q1」を発表した。同SoCの構成は、32KBのフラッシュメモリー、2KBのEEPROM、15KBのROM、そしてランタイム動作用の専用メモリーを搭載した32ビットARM Cortex-M3コアとなる。最大64mAを供給可能な4つのLEDドライバーチャネルを搭載しており、強化された16ビット独立PWM出力によって制御。12ビットADCと内蔵温度センサーおよび電圧監視機能を組み合わせることで、温度変化や経年劣化によるLEDの色ずれを自動補正できる。
―― 日本市場での成長戦略は。
慎 当社では、日本市場での事業を拡大するため、中長期の開発目標を策定した。顧客ニーズに応え、ブランド影響力を向上させ、自動車および産業分野で安定したマーケットのポジションを確立することを目指す。
我々の最優先課題は日本市場の顧客のニーズを深く理解し、様々なアプリケーションシーンに最も適した製品ソリューションを提供することだ。また、ブランドプロモーションを継続し、市場の認知度を高め、より多くのお客様に我々の技術力と製品の技術優位性を理解していただき、評価いただくことを目指している。積極的なマーケティングを通じて、より多くのパートナーと連携し、業界の発展をともに推進したい。
なお、長期的には高信頼性の製品にフォーカスし、車載および産業市場を深く掘り下げていく。高信頼性と高品質な製品のプロモーションに重点を置き、より多くの車載および産業分野の顧客にサービスを提供していく。日本市場は品質と安定性に非常に高い要求を持っており、それを基準に技術を最適化することで、顧客サポートのさらなる充実を図っていく。
(聞き手・清水聡記者)
本紙2025年7月10日号2面 掲載