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No.14

福島県、企業立地セミナー好評裏に終了、復興に向け広く立地を呼びかけ


2015/3/3

内堀雅雄福島県知事
内堀雅雄福島県知事
 福島県と福島県企業誘致推進協議会主催による「福島県企業立地セミナー」が2月10日、東京都内のホテルで開催された。セミナーでは、冒頭に内堀雅雄福島県知事が挨拶し、「企業立地補助金、優遇を用意しており、元気な製造業、ものづくり、サービスを行っていただきたい。ともに福島の復興、未来を語っていきたい」と広く立地を呼びかけた。
 続いて知事自ら福島の立地環境についてのプレゼンテーションを行った。
 福島県は産業集積が進んでおり、東北6県では製造品出荷額が最大となっている。現在、再生可能エネルギーを推進しており、産業総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所が2014年4月1日に開所。その他、地熱、太陽光、バイオマス、風力と様々な再生可能エネルギーを導入しており、関連産業の集積も進んでいる。
 また、医療産業にも注力している。13年の医療機器生産額は全国3位となっており、医療機器受託生産額は全国1位となっている。郡山市には(仮称)福島県医療機器開発・安全評価センターが16年早期の開所を目指して建設中。福島市には医療-産業トランスレーショナルリサーチセンターが、16年度稼働予定で整備が進められている。
 さらにロボット産業にも重点を置いており、福島第一原発の廃炉に向けた課題に対処するだけでなく、人間に対してのアシストやサポートに向けても開発を進めている。
 福島県の立地環境は、首都圏から200km圏内にあり、東北自動車道と磐越自動車道が交差する交通アクセスに優れた地となっている。高校工業科学生数は7000人で東北・北関東随一であり、優秀で豊富な人材に恵まれている。立地企業支援ネットワークも充実しており、技術のマッチングも頻繁に行われている。ふくしま産業復興企業立地補助金と津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金の指定を受けた企業は600社近くに上る。全国でも上位水準の優遇制度を有しており、さらに電源地域における電気料金補助制度や各市町村の優遇制度も活用できる。内堀知事は「福島はまだまだ復興の途上にある。皆さんと一緒に難題、課題を切り開いていきたい」とプレゼンテーションを締めくくった。
デンソー取締役社長 加藤宣明氏
デンソー取締役社長 加藤宣明氏
 続いて、(株)デンソー取締役社長の加藤宣明氏が「福島県とともに」のテーマで講演した。
 同社は、08年4月に(株)デンソー福島を設立。11年10月に部分的に稼働しており、12年8月にフル生産となっている。
 デンソーの生産拠点は従来、三重、愛知に集中していたが、自動車メーカーの工場は全国に分散しており、顧客に近いところで生産するメリットを享受するため、新たな生産拠点の設置を検討していた。北関東と東北をカバーできるというロケーションと粘り強くまじめで信頼できる人材が豊富であるということから、最終的に田村市の田村西部工業団地に進出を決定。磐越道に近く郡山市も通勤圏という地に工場を建設することにした。
 設立当初の08年は、自動車の国内生産が右肩上がりの状況にあり、設立後すぐ採用した社員は09年から1年間愛知に来て研修を行い、10年に戻る予定だったが、すぐにリーマンショックが発生。愛知の工場でも生産が半減し、先行きが不透明となったため、新工場の着工時期は延期となった。しかし、社員は採用していたため研修は予定どおり行った。
 その後、10年9月に工場建設計画を見直し、11年初の完成、5月稼働と当初計画から1年間の延期とした。11年3月に工場が完成し、3月20日に引き渡しとなる予定だったが、3月11日に東日本大震災が発生。工場建屋には被害がほとんど無かったが、原発事故の発生により避難所として使わせて欲しいとの要望があり、提供することを即断した。原発事故の影響を受けないぎりぎりの場所にあり、機械は未搬入。電気と水は来ていたため、一時避難所にはうってつけの場所となり、1カ月間で最大1800人が使用した。
 これにより、立ち上げスケジュールはいったん白紙となり、被災した藤倉ゴムに工場を貸したことなどもあり、当初計画から2年半から3年遅れで工場が立ち上がった。この間、社員は愛知に派遣されたままとなっており、研修期間1年の約束が3年となったが1人も脱落することはなく、「こういうところに福島の人の粘り強さを感じた」(加藤社長)という。
 加藤社長は最後に「福島の工場はまだまだ空があるので、発展に向けてがんばっていきたい」と抱負を語った。
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