(株)KOKUSAI ELECTRICは、バッチ成膜、枚葉トリートメントを主力とする成膜装置の専業メーカー。2025年4月1日付で社長交代を発表し、取締役専務執行役員だった塚田和徳氏が昇格、新たな経営体制となった。中国投資の一服感が出ている半導体製造装置市場において、25年はグローバル顧客の先端プロセス投資が牽引役となりそうだ。塚田新社長にこれまでのキャリア、そして今後の成長戦略について話を聞いた。
―― まずは、ご略歴から。
塚田 86年に当社(当時の国際電気)に入社し、半導体製造装置を扱う電子機械事業部に配属された。装置の組立から調整、試験、そして顧客サイトでの据付から引き渡しまで一気通貫で担っていた。その後、他事業部に籍を置いていた時期もあったが、再び電子機械事業部に呼び戻され、台湾ファンドリー大手での縦型装置の採用を機に97年から5年間台湾に駐在していた。結果、そこでの経験が私のキャリアにとって大きなものになった。
―― 具体的には。
塚田 台湾半導体の強烈なカルチャーに触れたことで、自分としてはなるべく顧客の近くで仕事がしたいと思うきっかけとなり、台湾帰任後、営業職を希望した。アジア営業部長や営業本部長など今日に至るまで20年以上営業分野を担当している。
―― 金井前社長から経営のバトンを引き継ぎました。
塚田 過去の日立国際電気時代を経て、他社とのM&Aを模索した時期もあったが、なかなかうまくいかなかったという歴史もある。ただ、これが結果的にバッチ成膜装置という原点に回帰させる、純度を高めるということにもつながっている。今後もこれに一層磨きをかける一方、事業領域の拡大なども進めていきたいと考えている。
―― 足元の事業環境は。
塚田 2月に行った決算発表でも説明したとおり、25年(暦年)のWFE(Wafer Fab Equipment)市場は、前年比横ばいの1050億ドル程度を見込んでいる。中国ローカルの投資が減少する一方、グローバル顧客の投資がこれを補うかたちになると見ている。中国はDRAM投資が建屋・クリーンルームの建設状況が律速条件となって一服感が出ている一方、中期計画には織り込んでいなかったがNAND投資が戻ってきている。グローバル顧客の投資については、先端のロジックファンドリーおよびDRAM投資がドライバーとなる。
―― こういった市場環境のなかで来期の見通しは。
塚田 現状で25年度(26年3月期)は、前年度比5%程度の増収を目指している。市場全体では横ばい見通しではあるが、主戦場であるALD市場はデバイスの複雑化に伴って、採用アプリケーションが増えている。バッチ、枚葉ともにALD市場はWFEの市場成長を上回るペースで今後も拡大が見込まれており、こうした波を着実に捉えていきたい。
―― バッチALDに次ぐ事業の柱はありますか。
塚田 まずは枚葉トリートメント装置が育ってきている。膜質の補修・改善を行うもので、NAND分野で採用が広がっているほか、ここにきてDRAMでの採用もD1B世代を契機に増えてきた。24年度の装置売上高に占めるトリートメント装置の割合は10%台半ばまで高まっており、前年度比2倍の伸びを示している。GAA(Gate All Around)など先端ロジック分野でも評価が始まっており、さらなる事業拡大に期待している。また、製品基準ではないが、中間工程(MEOL)や先端パッケージ分野にも成長ポテンシャルを感じている。
―― 具体的には。
塚田 例えば、チップ積層前後の処理で熱やプラズマ処理を行うニーズがあり、アプリケーションの探索を進めている。また、すでにシリコンインターポーザーのデカップリングキャパシタ形成工程にバッチALD対応装置の採用が増えており、24年度は約100億円の事業規模を見込んでいる。
―― 砺波新工場の生産状況は。
塚田 24年10月に竣工し、年明けから本格的な製品の出荷を開始した。中期計画で掲げる売上高3300億円超の目標達成に向けた生産体制の整備であり、需要動向を見ながらキャパシティーの追加増強を進めていく。
(聞き手・編集長 稲葉雅巳)
本紙2025年4月3日号1面 掲載