東京・横浜エリアを中心にリユースショップ「ロデオドライブ」を展開する(株)アールケイエンタープライズ(横浜市中区)は、2024年10月23日付で(株)コメ兵ホールディングスグループ(コメ兵HDグループ)の一員となり、新たなスタートを切った。今後はコメ兵が活用している「AI真贋」システムの導入を検討するほか、地元・横浜を中心にロデオドライブを複数出店していく考えだ。同日に代表取締役社長に就任した沢田登志雄氏に聞いた。
――24年10月にコメ兵HDグループの一員となりました。
沢田 当社は戦後「質屋」として創業し70年以上、時計を中心にジュエリーやブランドバッグなど、様々な商品を扱ってきた。一方、28年に80周年を迎えるコメ兵HDグループは、着物などの衣料品の行商から始まり、長い歴史の中でブランドバッグや宝石、貴金属、時計などを扱うようになった。また当社は、質屋として町のセーフティネットという役割を果たしながら正規品を見極めるための「真贋力」を培ってきた。祖業は違えど、同じような取り扱い商品や企業風土を持つグループと一緒になることで、互いの強みを補強し、逆に弱みをカバーできると考えている。その一環として、例えばコメ兵HDグループが業界に先駆けて導入したAI真贋システムを当社に移管していくということも考えている。
――AI真贋とはどのようなものでしょうか。
沢田 お客様にお持ち込みいただいた商品が正規品かどうかを、AIによる画像解析を通じて判定するシステムだ。AI技術を活用することで、例えばこれまで査定に30分かけていたところを10分でできるようになり、作業効率向上や省人化が実現する。その分お客様との対話など人にしかできないところに注力すれば、当社の本来得意とする接客・接遇に磨きをかけ、顧客満足度(CS)向上へとつなげたい。
――アールケイエンタープライズの強みとは。
沢田 約70年という歴史の中で、地元で絶大な信頼を寄せていただいているところだ。それは、先ほど述べた真贋力に裏打ちされている。リユース品を扱っているということに対して多少不安に感じる方もいらっしゃるかもしれないが、我々の確かな真贋力がそうした思いを払拭し信頼に変えてきた。
――特に時計の買取・販売に強い印象です。
沢田 時計はコメ兵HDグループの中でも我々が最も重きを置いているところだ。当社は業界でも珍しく自社で時計の修理工房を持っており、そこでスピーディーできめ細かい対応を行っている。今後も時計の取り扱いを増やしていきたいが、それだけではなく、お客様の要望に応じて他の商品の取り扱い数も広げていきたい。
――ロデオドライブの今後の出店戦略は。
沢田 一時は全国展開を考えていたが、マーケティングの観点からも、今は横浜や東京など、関東エリアでドミナント的に出店していくほうが望ましいと判断している。同じグループの「KOMEHYO」や「K-BRAND OFF」と各社一線を画した特徴を活かしながら出店エリアを吟味していく考えだ。
4月に第8次中期経営計画が始動する。具体的な出店計画はそこに盛り込む予定だが、販売・買取店と買取専門店をそれぞれ複数店出店することになりそうだ。店舗の規模や立地などによって販売・買取店か買取専門店を出し分けていく。効果的な商品配置が叶う店舗では販売も行いたいが、それが難しい場合は立地も考慮したうえで買取の専門店とする。また、領域特化型の専門店の出店も考えていきたい。
――リユース業界の市場規模は拡大基調にあります。貴社、あるいはコメ兵HDグループが目指す姿とは。
沢田 リユース市場は今の3兆円規模から、30年には4兆円規模にまで拡大すると言われている。オンラインのプラットフォームが浸透していることなどもあり、モノの売り買いは今や一般的な事象となった。そのような中で「適正価格で買い取ってくれるのか」「目利きは確かなのか」「(高齢者などが)オンラインでのやり取りに慣れていない」といったニーズに対応していくのは我々だ。
コメ兵HDグループは、「モノは人から人へ伝承され、有効に活用されてこそ、その使命を全うする」という独自の概念である「リレーユース」を掲げている。この考えを「思想」から「文化」にするというのが我々の目標だ。その実現のために、アールケイエンタープライズも含めたグループ全体として取り組んでいく。
(聞き手・安田遥香記者)
商業施設新聞2584号(2025年2月18日)(5面)
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