商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.495

北陸新幹線と日本海


笹倉 聖一

2015/2/24

発表会に臨む真鍋社長(左)、仲間由紀恵さん(中央)、谷村新司さん(右)
発表会に臨む真鍋社長(左)、仲間由紀恵さん(中央)、谷村新司さん(右)
 JR西日本の北陸新幹線 金沢・富山-東京開業の新CMと、楽曲「北陸ロマン」の記者発表会が1月中旬に開かれ参加した。仲間由紀恵さんと谷村新司さん、JR西日本の真鍋精志社長が登壇し、新幹線開業間近の北陸への思いをそれぞれが述べ、楽曲が披露された。

 仲間さんは、CMロケで芦原温泉の芦湯(福井県)、近江市場と金沢駅の鼓門(石川県)、富山湾鮨の寿司屋(富山県)を回った。「芦原温泉では小学生2人と共に撮影し癒やしの場になった。福井県には芦原以外にも山代など良い温泉が多い。金沢市の近江市場はかになど日本海の新鮮な魚介類がいっぱいで、このほかに浅野川、犀川など風情の良い場所がたくさんある。石川県では能登半島の名所も良い。一方、富山湾は天然の生け簀と呼ばれ、そこで漁れた新鮮な魚による富山湾鮨は美味しい。新鮮な魚を再度ゆっくり食べに行きたい」とロケの思い出を吐露した。
 「北陸ロマン」を作詞作曲した谷村さんは「石川県・富山県・福井県を40年間、何度もコンサートで旅してきた。3県それぞれの知事にお会いして、各県の強み、良いところを聞いたところ、『日本海』という言葉が3県につながるキーワードとして浮かんだ。その時にまず心がけたのは、『日本海をポップに表現したい』という強い想いだった。そして『日本海が持つ風景を日本の伝統的な色で歌詞に表現したい』と思い、晴れの日本海の色を青鈍(あおにび)、冬の日本海の色を薄墨(うすずみ)、夕陽の沈む日本海の色を唐紅(からくれない)として選んだ。さらに、日本海でつながっている遥か彼方のユーラシア大陸からバルカン半島の『ブズーキ』、ロシアの『バラライカ』という哀愁のある音色の楽器を選んだ」と語った。

 真鍋社長は「北陸の魅力を引き出した楽曲とCMができた。北陸エリアを預かる鉄道会社として、北陸に多くの人が来ていただけるように広めていきたい。北陸には兼六園、永平寺、北アルプスなど見ても見足りないものがたくさんある。海・山の幸、日本の美は北陸にあることを堪能していただきたい」と挨拶した。

 また谷村さんは「若い頃には、海と言えば太平洋を思い描くことが多いが、大人になったら日本海の良さが沁みてくる。日本酒のように落ち着く。今の時代は先が読めない。世界や日本にはときめきがない空気感が漂っている。そんな時に思いつめた気持ちではなく、光や風を感じるために北陸に行ってみたい、先に進みたいと思えるような楽曲にしたかった。
 少し照れ屋でやさしい人達が待っている、それが北陸。北陸へ行って触れると何かが変わる。この歌を聴いてくださった人達が世代を超えて、それぞれの想いを持って北陸を旅してくれるようになることを心から祈っている。貴方の心が大人に変わったら……、是非、日本海を感じに北陸を訪れてください」と締めくくった。

開業を待つ北陸新幹線車両
開業を待つ北陸新幹線車両
 “大人に変わったら日本海に逢いたくなる”というフレーズが心に残る曲だった。ポップというより、バラード調の印象を受けた。新幹線とは対極のゆっくりした曲調が暖かさを醸し出している。
 曲の最後に谷村さんと仲間さんが、「ライライライライラライラライ」とデュエットするのだが、そのフレーズにかつて谷村さんが所属していたバンドであるアリスのヒット曲「チャンピオン」(1978年)を思い起こしたのは私だけだろうか。北陸ロマンの底流にチャンピオンを感じたことから、北陸はやさしさ、新鮮さ、自然の雄大さでチャンピオンになる新たな時代に突入する、そんな楽曲の意図を汲み取った。
サイト内検索