(株)JSP(東京都千代田区)は、発泡プラスチック専業の化学メーカーとして発泡プラスチックやその他の合成樹脂製品を世界中に提供している。そのなかで同社の産業資材部では「ミラマット」(発泡ポリエチレンシート)を主力製品として扱っており、今回導電性機能が付与された新製品をミラマットシリーズに加え、7月から販売を開始した。同社の執行役員で産業資材事業部の事業部長である青木健氏に新製品などについて話を伺った。
―― 貴社製品の特徴などについて教えて下さい。
青木 産業資材部では、ミラマットという緩衝材を販売しており、緩衝性、断熱性、防湿性などの特徴によってあらゆる製品の梱包材として幅広い業界に提供している。また、ミラマットのなかで「ミラマットエース」という製品をラインアップしており、現在フラットパネルディスプレー分野で広く採用されている。主な特徴としては、ポリマー型の帯電防止性能が付与されており、長期間にわたり湿度が低い環境下でも帯電防止性能を持続的に発揮できる。加えて、被包装体への移行汚れを抑える処方など、独自技術の研鑽を継続していることも顧客に評価されている。
―― 今回の新製品について。
青木 従来のミラマットに導電性を付与したことで、精密機械や半導体、電気自動車などの新たなビジネス分野への進出に取り組んでいる。導電性ミラマットの特徴としては、表面固有抵抗値が10の6乗Ω以下で、静電気を速やかに逃がすことで、電子部品を静電気障害から守ることができる。
また、独自の技術でカーボンの脱落・移行汚れを抑える処方を用いているほか、クリーンペーパーと同等の低い発塵性も有していることが大きな特徴だ。従来のミラマット同等の緩衝性を備えた導電性包装資材として、これまでの帯電防止グレードでは対応できなかった新しい市場へ拡大していく計画だ。
―― 製品の競争力について。
青木 当社の推定になるが、高発泡緩衝シートで導電性機能を備えており、しかも無架橋でリサイクルができるという観点でみると競合品はないと思う。
―― 海外展開の可能性は。
青木 ミラマットエースはすでにフラットパネルディスプレー分野で海外へ展開しており、販路がさらに広がってきている。今回の導電性ミラマットについてもすでに引き合いはあり、これまで蓄積したノウハウをもとに、販売領域を今後広げていきたい。
―― 生産体制はどうなりますか。
青木 まず、生産拠点は当社産業資材部のメーン工場である栃木県の鹿沼工場となる。キャパシティーとしては具体的な数字は公表していないが、既存の生産設備にプラスアルファの改良を加えて対応できるようになっているので、需要に応じて柔軟に対処することができる。
―― 今後の事業目標などについて。
青木 導電性ミラマットについて、まずは年間1億円規模の販売を目指している。高度な技術力を投入した新製品であるが、完成品とは位置づけていない。市場のニーズは多様で、変化していく。これまでの開発品においても、顧客との連携を密にして、どう使っているか、何を必要としているのかという情報を取り込み、柔軟にカスタマイズ対応してきたことが、製品の成長につながった。今回の導電性ミラマットも同様に、ユーザーニーズに合わせて積極的にブラッシュアップしていく。発泡プラスチックのパイオニアとしてさらに技術力を向上し、市場で常に一歩先を開拓していきたい。
(聞き手・嚴智鎬記者)
本紙2024年11月14日号8面 掲載