商業施設新聞
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No.956

キャッシュ派はつらいよ


松本顕介

2024/5/21

 新型コロナウイルス感染症の位置づけが、「新型インフルエンザ等感染症」、いわゆる2類相当から、「5類感染症」に2023年5月8日に移行して、1年が経った。その間、人の移動は活発になり、先のゴールデンウイークは人であふれた印象だ。新幹線の乗車率は100%を超え、高速道路の渋滞情報でも「××間渋滞40km」が見られた。完全にコロナ前の生活スタイルに戻ったようだ。また、インバウンドも大挙して訪れ、歴史的な円安を背景に爆買いにとどまらず、“爆食・爆泊”と、大いに“安いニッポン”を楽しんでいる。

 コロナ禍では、飛沫感染を避けるべくオフィスや店舗では透明のアクリル板製の衝立が設置され、接触を避けるスタイルが定着した。店舗では人と人との接触によるお金のやり取りを控えるため、キャッシュレス決済が急速に普及した。コロナの感染が落ち着いて人流が戻っても、キャッシュレスの利便性を感じた人は再び現金決済に戻ることはないようで、キャッシュレス決済の普及がどんどん進んでいる。翻って、現金決済の場合、コロナが落ち着いても直接手渡しにまだ抵抗があるのか、店員が客の手にしっかりわたすという光景が減ったと思う。

小銭ジャラジャラ派はマイノリティになりつつあるのか
小銭ジャラジャラ派はマイノリティに
なりつつあるのか
 相手の手に触れないように釣りを客に渡す場合、トレイに置いて渡したり、あるいは客の手に現金を置く瞬間にレシートをさっと忍ばせ直接手と手が触れることを回避する高等テクニックも見られた。なかには客の手に落とすという『ドロップ式』も少なくない。その場合、店員の手と客の手の距離(高さ)がポイントになる。あまりに落差があり、あたかも現金が「落下」したような状態では客に不快感を与えかねない。それならはじめからトレイで渡してもらうほうがよい。もしくはセブン-イレブンの店舗に配置しているような精算機を置いていただけるとありがたい。

 よく利用するコーヒーチェーンでも近ごろキャッシュレス派が急増しているように映る。すると現金でやりとりする機会が減り、釣りを返すテクニックも衰えてくる。同時に、ドロップ式が増え、高さも増していると感じた。暗に現金決済を否定されているのか。ポケットに小銭ジャラジャラのスタイルは絶滅危惧種の道を歩んでいくのかもしれない。
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