商業施設新聞
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No.955

魅力的なまちについて考える


新井谷千恵子

2024/5/14

 東京には、多様なまちが存在している。丸の内、日本橋、品川、銀座、渋谷、原宿、新宿と、本当に色々なまちがあり、各々の特色を生かすようなまちづくりが進められている。

 筆者は仕事柄様々なまちに赴くが、最近は“魅力的なまちとは何か”とよく考える。新しい店舗がたくさん出店している場所か、はたまた昔ながらのお店が軒を連ねているところか、もしくは歴史的な建造物が多く立地しているエリアか。魅力的なまちに必要な要素はたくさんあるだろうが、筆者が最近思う重要な要素は“歩いて楽しいか”だ。

 例えば、東京・丸の内。有楽町から丸の内仲通りを通って大手町方面に行くと、オフィスが多く集積しているにも関わらず休日でも多くの人で賑わっている。歩行者天国となっている部分では、様々なイベントが開催されており、行くたびに丸の内の色々な表情が見られる。路面には店舗が連なっているが、これが賑わいをさらに引き出しているようで、そのおかげか有楽町から歩いていても全く苦に感じない。かつては「休日と夜は警備員のまち」と言われていたのが信じられないほど、歩いて楽しいまちとなっている。

 個人的には渋谷も歩いて楽しいまちになりつつあると思う。渋谷は読んで字のごとく、谷底に駅が立地しており、道玄坂や宮益坂など坂道が多い。そのため駅周辺はまだしも、駅から少し離れたところは人が流れにくかった。また、国道246号線と高速道路で渋谷駅から南側の方面は分断されていたため、南側には少し行きにくかった。近年の再開発とともに、歩行者動線が整備されることで回遊性が大幅に向上しており、渋谷駅を起点に周辺にも足を運ぶことができるようになっている。今後の再開発により、さらなる回遊性の向上が見込まれる。

観光地は歩いてめぐるのが基本だ(写真は浅草周辺)
観光地は歩いてめぐるのが基本だ
(写真は浅草周辺)
 また、観光地となるようなところは、歩いて楽しい場所が多いと思う。日本の代表的な観光地である古都・京都も、美しい街並みを楽しめることなどから歩いて回る人も多いだろう。東京の浅草や上野なども、歩いて散策している人が多く見られる。

 現在、東京都内では様々な再開発事業が進められているが、ウォーカブルなまちづくりに注力するところも多い。京浜急行電鉄(株)とトヨタ自動車(株)が進めている「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」では、国道15号線上空に大型デッキを設ける予定で、歩行者の品川駅方面からのアクセス性が良好になる予定だ。歩きやすいまちづくりは、今後も様々なところで行われるだろう。
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