半導体を熱く語るということでは、絶対負けない!との信念が筆者にはあるのだ。それゆえに、半導体およびその周辺業界の人たちと直接コンタクトし、情報交換をするのが大好きなのである。そうしたことを目的に発足した「次世代トレンド塾」という催しがあり、迎えて第16回となるのだ。2024年5月8日(水)東京・銀座にて14時スタートでこの塾は開催されるが、多くの人の参加を呼び掛けたいと思っている。
さて、半導体の設備投資について各国政府はすさまじい勢いでこれを支援している。米国バイデン政権は先ごろ、サムスン電子のテキサス新工場に約1兆円の補助金を付与する方針を固めた。2~4nmロジック半導体のファンドリー拠点の設備投資に対する支援金なのである。そしてまた、TSMCのアリゾナ新工場に対しても約1兆円の補助金、米国が誇る半導体企業であるインテルに対しては約1兆3000億円の補助金、そしてまたグローバルファウンドリーズに対しても約2300億円の補助金を付与する方針なのだ。まったくもって、バラマキという他はない。
米国商務省のCHIPS法助成金はトータル5兆8500億円と巨大であるが、我が国ニッポンも負けていない。今のところトータル3兆5000億円を用意し、シリコン列島ニッポンの再生に全力を挙げていく考えだ。驚くべきことはデバイス・装置・材料、さらには一般電子部品まで徹底支援していることなのである。
ところがどっこい。中国もまた負けてはいないのだ。SEMIによれば、半導体製造装置の2023年販売額は1063億ドルとなり、2022年の1076億ドルに比べ、1.3%減となっている。当初の見積もりでは世界の半導体設備投資は前年比20%以上落ち込むと言われていた。しかしながら、集計してみればほぼ横ばいともいうべき数字に驚かされる。この最大の理由は、中国が前年比22%増の366億ドルを投入しているからだ。全世界の3分の1にあたる投資は中国が断行しているのである。この事実の意味は大きい。
筆者が塾長を務める今回の次世代トレンド塾では、「日本国政府は半導体による国おこしに全力で取り組む構えだ!」をテーマに行われる。もちろん、米国の動き、中国の動き、そしてまた、台湾、韓国さらにはインドの動きなども交えて、空前の設備投資ラッシュを徹底的に解説する。半導体はいまや国家安全保障の要であり、戦略物資とまで言われているのだ。具体的な工場新増設の詳細をきっちりと語っていきたいと思っている。
筆者の講演の後には、参加者とのパネルディスカッションが行われる。これが実に楽しい。参加した人たちに感想・意見・質問などをいただいて議論していくことには、多くの意味があると考えている。その後には、銀座の夜景を眺めながらビール、ワイン、ウイスキーなど軽くたしなみながら、また語り合うという実に魅力的な催しなのである。
第16回次世代トレンド塾の実施要項は以下のとおり。
日時:令和6年5月8日(水)14時~
場所:ソマール株式会社4階会議室
(東京都中央区銀座4-11-2)地下鉄東銀座駅徒歩1分
参加費:10,000円(税込み)※事前振込 懇親会費含む
定員:50名(先着順)※1社2名様まで
【お申込みはWebから】
下記URLまたは「コウシングループ」で検索してください
http://www.koushin.co.jp/archives/news/trendschool
主催:トータルサービスプランナーズネット株式会社
事業継承研究所
株式会社庚伸(コウシン)
特別協力:株式会社産業タイムズ社
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。