商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.948

新世界グループは息子へ


嚴在漢

2024/3/19

 サムスングループ創立者の故李秉チョル(イ・ビョンチョル)会長は、生涯に10人の子供を授かった。そのうち、三男がサムスングループ元会長の李健煕(イ・ゴンヒ)氏で、五女は新世界グループ代表取締役総括会長の李明煕(イ・ミョンヒ)氏だ。そのミョンヒ総括会長は3月8日、新世界グループ総司の肩書を息子の鄭溶鎮(チョン・ヨンジン、55歳)氏に継承させた。

 新任の鄭会長は、韓国名門のソウル大学西洋史学部を中退し、米ブラウン大学(ロードアイランド州)経済学部を卒業後、富士通コリアに入社しサラリーマン生活を開始した人物だ。以降、新世界グループの戦略企画室の取締役となり、企画調整室長や副社長などを経て2006年に新世界グループ経営支援室副会長に抜擢され、新世界デパートとイーマート(大型ディスカウントストア)の代表取締役副会長も経験した。イーマートの23年通期連結売上高は29兆4722億ウォン、新世界デパートは同6兆3571億ウォンを計上している。鄭氏の会長昇格は、最近の新世界グループにおける経営状況とも関連性がある。グループ主力事業のイーマートは23年通期に469億ウォンの営業赤字を出した。イーマート子会社の新世界建設の大規模赤字が表面的な理由ではあるものの、イーマート単体の利益も18年の4893億ウォンから23年は1880億ウォンと5年間で61%強目減りしている。

 また、新世界デパートとイーマートを合わせた総売上高は22年の37兆1452億ウォンから23年は35兆8293億ウォンに減少している。競合するクーパン(韓国トップのeコマース企業)が、23年に30兆ウォンを売り上げて韓国流通業界の強者に浮上したのとは対照的だ。

新世界デパート本店や本社ビルが位置するソウル明洞エリア
新世界デパート本店や本社ビルが位置する
ソウル明洞エリア
 新世界グループは23年9月から事実上の非常経営体制に突入している。当時の定期人事では最高経営責任者(CEO)全員のうち40%を交替した。鄭会長は「組織は成果を出すために存在し、企業は収益を出さなければ持続できない」といい、23年末から収益性の強化などグループの実績改善を呼びかけている。実際に最近、ホテルやレジャー事業部を「新世界朝鮮」に一本化し、ペット専門事業部を廃止してファッションとテナント事業に統合するなど、構造調整を進めている。

 また24年における事業戦略として、デパートや流通業など本業の競争力堅持と、系列会社間のシナジー創出を挙げている。主力事業で収益性の安定化を図りつつ、事業領域を拡大していく考えで、その一環として仕入れや運営、物流機能などを一本化するための統合推進事務局を24年初頭に新設した。グループのシナジーを強めて、購買力アップと価格競争力を最大化する狙いだ。イーマートはこうした統合を通して、年間で約1000億ウォン(約111億円)の収益改善効果を生み出すことを目指す。また、24年に新規店舗用の敷地を5カ所確保し、順次出店する予定だ。さらに、変化する顧客の生活スタイルに合わせて、顧客がより長い時間を費やせる店舗と売り場作りのための空間イノベーションにも取り組んでいく。

 オンラインモールのSSGドットコムとGマーケットの場合、オンライン・ショッピングにおける顧客が求める高信頼性の商品とサービスを提供する。SSGドットコムはイーマートと連携した生鮮食品など主なカテゴリーの価格競争力を確保し、ファッション、美容、名品などといった成長可能性の高い戦略的なカテゴリーに集中していく計画だ。新任の鄭会長は、低迷する新世界グループの業績を復活させるため、構造調整や様々な事業戦略を通して、会長職にふさわしい経営手腕を発揮していきたいとしている。
サイト内検索