電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第563回

パワーサプライテクノロジー(株) 代表取締役社長 山本英司氏


半導体装置・FAへの提案強化
電源周辺機器とのコラボ募集中

2024/2/16

パワーサプライテクノロジー(株) 代表取締役社長 山本英司氏
 パワーサプライテクノロジー(株)(PST、三重県松阪市)は、パナソニック(株)オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の一般電源事業を譲り受けて新会社として発足し、2024年10月に節目となる10年を迎える。代表取締役社長の山本英司氏に事業概要と今後の事業戦略について伺った。

―― 10年を振り返って。
 山本 14年10月のPST発足と同時にnmsホールディングス(株)傘下の企業となった。ホールディングスには、製造・開発受託および人材ビジネスの日本マニュファクチャリングサービス(株)、EMSの(株)TKR、(株)志摩電子工業がある。当社は、ホールディングスにおけるパワーサプライ事業の中核を担い、複写機業界の高圧電源技術において国内No.1シェアである。
 PST発足時点の年間売上高は168億円であったが、2~3年は新規受注が減り減収となった。このとき、「パナソニック」の看板の大きさを改めて痛感した。当社主力の電源装置は競合メーカーが数百社あるなかで、従来の顧客を大切にしながら、高密度設計・小型軽量化といった高品質な製品開発、地道な営業活動とフルカスタムならではのソリューション提案が信頼獲得につながり、回復基調に乗せることができた。20年からのコロナ禍、20~21年の半導体不足といった影響を受けたものの、23年3月期は過去最高の売り上げを記録し、今後は業界トップを目指し活動を強化していく。

―― 事業の概要は。
 山本 パナソニック時代から「独立採算制」の方針のもと、パナソニックグループとの取引はなく、製品の大部分は複写機をはじめとするOA機器の大手メーカー向けで、現在も8割を占めている。製品は、スイッチング電源、高圧電源、高圧トランスのほか、複写機用のマグネットロールなどを展開、新規事業拡大のため新卒およびキャリア採用を行っている。
 事業拠点は、松阪市の本社と横浜R&DセンターにR&D拠点、営業拠点を置き、中国佛山に製造拠点と一部R&D機能を配置し、香港、タイに各1カ所、中国に2カ所の海外営業拠点がある。

―― 従業員に対してのモットーは。
 山本 従業員一人ひとりの幸せ、安全と健康を常々大切にしている。社内のコミュニケーションを活性化するなど働きやすさを追求している。また、OA機器と産業機器の電源開発においてローテーションを組むなど、多様な経験を積むことでマンネリを回避し、楽しさを創出している。入社式においては、新入社員に「なにか問題に当たっても深刻にならず、元気で明るくやってほしい。思い悩んでも問題は逃げていかない」と話している。

―― 新規事業について教えて下さい。
 山本 これまでの複写機などのOA機器向け電源に加え、1つはFA、ロボットといった産業系市場である。数百Wを扱うOA機器に対し、数kWの産業機器の分野の人材を採用するとともに、開発を進めた結果、半導体製造装置、FAおよびロボット用への電源の量産受注が決まった。

―― 2つ目の新規事業は。
 山本 電源と電源周辺機器とのセットでの提供を目指している。例えば、複写機ではモーターが使われており、電源とモーター制御回路やモーターとのセットで提供すれば、顧客は開発期間の短縮やシステムの小型化といった課題がクリアでき、顧客と当社双方にメリットがある。この事業は、当社だけで取り組むことは困難であり、一緒に協業できる企業を募集している。また、エネルギー回生・電池にも興味がある。

―― 最後にアピールを。
 山本 本社は、R&D拠点で製造設備がないが、今後は、設計からすぐさま試作・製造できるモデルラインの構築を予定している。これにより、生産現場へのフィードバックを迅速に行うことが可能となる。OA機器、半導体製造装置・FA・ロボット向けの各電源についてのお困りごと、また、電源とともにセットで提供できる周辺機器とのコラボのご提案も受け付けているので、要望や提案などがあれば気軽に問い合わせいただきたい。

(聞き手・編集委員 倉知良次)
本紙2024年2月15日号10面 掲載


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