店舗を撮影した帰りに、「イオンモール」が目に入ったので、フラッと立ち寄ってみたところ、そこで驚くべき光景を目の当たりにした。なんと1階の専門店売り場において、10区画ほどの店舗が閉店し、壁に覆われていた。「いつもの改装風景では?」と思われるかもしれないが、問題はその改装時期の早さだ。その施設「イオンモール大阪ドームシティ」は2013年5月にオープンしたばかりなのだ。
13年5月にオープンした
「イオンモール大阪ドームシティ」
イオンモール大阪ドームシティは、「京セラドーム大阪」の北東に位置し、同社としては大阪環状線の内側に初めて出店した、都市型のSCである。同SCは1階が《食のフロア》、2階は《アクティブホビー&ライフアップサービスとファッションのフロア》、3階は《スローホビーとキッズセレクトのフロア》、4階は《飲食・アメニティと暮らしの品のフロア》で構成。中でも、1階はGMSの食品フロアと「うまいもんコンプレックス」を配置しており、うまいもんコンプレックスには道頓堀を歩いているような賑わいをイメージし、大阪のグルメ、スイーツ、惣菜など32の専門店を集めていた。
しかしながら、今回、「パンケーキデイズ」「くれおーる」「創造中華 華星」「フレッシュベーカリー神戸屋」といった地元企業の店舗が相次いで閉店。物産店として出店していた「ちゅらり」や「Delicious Factory」も、同様に閉店し、壁に覆われていた。
壁の貼り紙を確認したところ、14年11月末に閉店した店舗が多いのに気づいた。以前、テナントとの契約期間が短くなっていると開発担当者から聞いたことはあったが、今回の1年半という契約は、あまりにも短すぎるのではないかと思った。それと同時に、イオンモールの決断の早さを垣間見て、改めて同社の強さを感じ取った。
一方、13年4月に開業した「グランフロント大阪 ショップ&レストラン」は、消費税増税後の厳しい状況を乗り越えて、軌道に乗りつつある。ショップ&レストランは266店(開業時)を集積した商業施設で、「うめきたセラー」「うめきたダイニング」「UMEKITA FLOOR」といった食関連(飲食店や食物販店)の店舗を77店導入したのが大きな特徴だ。初年度は、この飲食・食物販店が想定以上の売上高を記録し、1年目の来場者数は延べ5300万人、売上高は436億円を計上した。2年目も14年4~5月はやや厳しい状況であったが、6月より徐々に上向き始め、10~11月は2カ月連続で昨年同月対比をクリア。堅調な売り上げを見せる飲食・食物販店に加え、物販店の売上高が底堅く推移したため、と運営担当者はその理由を説明していた。
イオンモール大阪ドームシティとグランフロント大阪 ショップ&レストラン。規模こそ違うものの、両施設とも開業時は“食”を前面にアピールしていた。しかし、わずか1年半で修正を余儀なくされた施設と、その1年半で軌道に乗せた施設という結果になり、明暗がくっきりと分かれてしまった。
昔から天下の台所と称されてきた大阪では、飲食店や食物販店の成否は、商業施設そのものの成否にも関わってくる。また、今回は地元企業の多くが閉店してしまったが、お惣菜店「手づくり家庭料理 咲菜(さかな)」などを展開している(株)千惣、ローカロリー&ヘルシーフードを提供する「+medi(プラスメディ)」を展開しているインクロムプラス(株)、チーズタルト専門店「PABLO(パブロ)」を展開している(株)ドロキア・オラシイタなど、元気な地元企業は数多く存在する。これらの地元企業が、商業施設内に相次いで出店することで、大阪の商業施設がさらに活気付くことを願う。