愛知県などが主催した「愛知県産業立地セミナー2023 IN 東京」が11月14日に東京都内のホテルで開催された。セミナーの冒頭で大村秀章愛知県知事が講演し、愛知県の魅力や立地環境などを紹介し、広く立地を呼びかけた。
大村知事は(1)愛知の厚い産業集積、(2)愛知の優れた立地環境、(3)立地を力強くサポートする愛知、(4)愛知発スタートアップ・イノベーション、(5)日本の未来をつくるプロジェクトの5つのテーマで講演した。
愛知県は製造品出荷額が45年連続1位。22年の工場立地件数は61件で全国1位、立地面積では2位となっている。輸出額も約18兆円で全国1位。製造業24業種中10業種で全国シェア1位となっている。
愛知県の輸送用機器器具製造品出荷額は25兆2306億円で、シェア40%と圧倒的な集積を誇っている。航空宇宙産業もコロナ禍で厳しい状況にあったが、持ち直しており世界3大拠点としての集積を目指す。
ロボット産業も集積しており、ロボット製造業の事業者数は第1位。12月には高校生ロボットシステムインテグレーション競技会を開催する。
農業でも21年産出額は約3000億円で中部地区最大、全国第8位となっており、キャベツ、しそ、ふき、うずら卵、イチジクの出荷量または産出額は日本一。水産物でも高い生産量を誇っており、あさり類、うなぎ養殖の生産量は全国有数となっている。
立地環境としては、交通インフラが充実しており、空路・陸路・回路のすべてにおいて高い優位性を誇っている。リニア中央新幹線が27年度に開業する予定で、「静岡工区を早く何とかして欲しい」(大村知事)と早期の開業を要望。27年度には中部国際空港第二滑走との供用開始も予定している。
愛知県企業庁が分譲している産業用地としては、豊橋三弥があり、幸田須美がエントリー受付中。また、豊明柿ノ木の分譲を予定している。
産業人材も豊富で、技能検定合格者数は全国第1位。大学は52校あり全国3位。公立高校における工業工場は20校で全国1位、商業高校は20校で全国3位となっている。
補助制度も充実している。21世紀高度先端産業立地補助金は限度額100億円と全国トップクラス。補助金はこれまでに478件の投資案件を採択しており、投資総額約8100億円、約6万9000人の雇用を維持・創出している。
スタートアップの創出・育成・展開・誘致を図る支援拠点「STATION Ai」を建設中で24年10月の開所を予定。愛知県とソフトバンクの共同事業で、ソフトバンクの100%子会社である(株)STATION Aiが整備・運営する。
大村知事は「日本一元気な愛知でビジネスチャンスをつかんでいただきたい」と講演を締めくくった。
続いて、三井化学(株)代表取締役 専務執行役員CTOの芳野正氏が「企業から見た愛知県の魅力 -愛知県戸の共創による三井化学名古屋工場の進化-」のテーマで講演し、同社の愛知県における事業展開の状況を説明した。
同社は愛知県に5工場と分工場を展開。名古屋工場は市街地に位置し、樹脂・加工品に特化している。同工場は1950年設立、塩ビ樹脂を農業用フィルムに加工するところからスタート。フィルムの技術と加工の技術を有している。今後ICT分野へと進出する方針で、敷地内に名古屋ICT研究所の建設を進めている。現在千葉県袖ケ浦市にある研究センターの機能を移転する予定で、14年から30年に70人を名古屋に集約する。名古屋工場の製品で半導体保護テープの「イクロステープ」の開発に向けICTテストフィールドを設ける計画で、半導体工場で使われている装置をそのまま設置する。また、共創スペースも設置する計画だ。名古屋工場では太陽光パネルの設置も計画しており、24年2月の稼働を予定。フィルムのリサイクル設備も設置する。芳野氏は「これからも愛知県と共創を進めながらともに発展していきたい」と語った。
その後、県内首長によるトークセッションに移った。セッション1では特色のある工業団地のテーマで、半田市長、刈谷市長、常滑市長、あま市長が登壇。半田市は計画中の石塚地区工業団地、刈谷市は依佐美区工業団地、常滑市は産業用地の中部臨空都市、あま市はあま方領地区工業団地を紹介した。
セッション2では、蒲郡市長、知立市長、日進市長、三好市長が独自の支援制度を紹介。セッション3では、東三河地域の豊橋市長、豊川市長、蒲郡市長、新城市長、田原市長が地域一帯の企業誘致について紹介した。