―― まずは直近の業績動向から。
小野寺 2014年7~9月期業績は売上高が前四半期比14%増の2090億台湾ドル、営業利益が同19%増の844億台湾ドル(営業利益率40%)の増収増益となり、売り上げ・利益ともに高い伸びを示した。成長要因の1つは、やはり20nm世代の貢献だ。4~6月期はわずか1%未満であった売り上げ比率が、今四半期では9%と急激に上昇している。10~12月期においても、通常は閑散期にあたるが、20nmの需要が非常に旺盛で、売り上げ比率で20%になる見込みだ。
―― 過去の世代に比べると、立ち上げスピードが非常に速い印象を受けます。
小野寺 そのとおりで、格段に速くなっている。過去の世代では10%に達するまでに少なくとも数四半期を要しており、ある意味で「異例の垂直立ち上げ」ともいえる。また、当社は年々売り上げが拡大しているので、過去の10%と今の10%ではまったくボリュームが異なっている。長年、専業ファンドリーとして実績を積んでいるので、この経験値が生かされたと思っている。
―― 10~12月期の見通しは。
小野寺 前四半期比で4~5%の成長を見込んでいる。通常、季節性要因の影響から第4四半期は売上高が減少するが、今年は昨年ほど在庫圧縮の動きが少なく、それほど需要が減退しないと思う。これにより14年通年での売上高は前年比で20%を超える成長となる見通しだ。ファンドリー市場全体では、10%台前半の成長率となる見通しであることから、市場平均を上回る成長を遂げることができそうだ。
―― 日本国内における事業展開の状況は。
小野寺 全社に占める日本国内の売り上げ比率は1割未満と低いが、14年においては全社平均を大きく上回る成長を遂げる見通しであり、四半期ごとに売り上げ比率が上昇している。
―― 成長要因は。
小野寺 従来はテレビや携帯電話向けのSoCなどが主軸であったが、近年はこれに加えて、いわゆる「More than Moore」ライクな製品、ピュアロジックではない製品が大きく伸びている。製造世代でいうと、40nmや90nmなどである。周知のとおり当社は先端プロセス向けに強みを持っているが、数多くの差別化されたプロセスを網羅したマトリックス的経営を実践しており、この取り組みがここにきて、数字として表れるようになってきたと思っている。
―― 事業拡大に向けて重視されているところは。
小野寺 日本は欧米やアジアと異なり、顧客の大半がIDM企業だ。ゆえに、一般的なCOTと呼ばれる、ファブレス・ファンドリーモデルではなかなか難しいところもある。当社としては、中長期でパートナーシップを築きフレキシブルにやっていく必要がある。
―― 顧客数も増えていますか。
小野寺 残念ながら増えていない。しかし、日本国内には成長著しいファブレス企業が複数出てきているので、今後大いに期待しているところだ。
―― 今後の設備投資は。
小野寺 ガイダンスどおり、14年は96億米ドルを予定している。来年は100億ドルを若干超える水準になる見通しだ。製造世代では16nm世代の立ち上げと10nm世代の量産準備、建屋ベースでは台南Fab14のP7の立ち上げが中心案件となる。P7は15年前半に稼働する予定だ。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年12月3日号1面 掲載)