電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第98回

(株)荏原製作所 営業統括部コンポーネント営業推進室長 藤野佳宏氏/精密機器事業部環境製品技術室長 駒井哲夫氏


IC用燃焼式装置が好調
海外を強化、台湾で生産開始

2014/11/14

(株)荏原製作所 営業統括部コンポーネント営業推進室長 藤野佳宏氏/精密機器事業部環境製品技術室長 駒井哲夫氏
藤野佳宏氏(左)と駒井哲夫氏
 (株)荏原製作所は、温室効果ガスの除害システムとして燃焼式から乾式、F固定式、触媒式、湿式、ドライ真空ポンプ一体型まで揃え、国内できめ細かいサポートを提供しながら、海外市場の拡大にも対応。台湾では装置の本格生産を開始した。精密・電子事業カンパニーの営業統括部コンポーネント営業推進室長の藤野佳宏氏と、精密機器事業部環境製品技術室長の駒井哲夫氏に装置群と海外事業について伺った。

―― 市場環境と好調な装置について。
 藤野 2012年後半からの国内半導体装置市場の回復を背景に、主力の燃焼式除害装置「G5型」(350L/分)、「G6-E型」(400L/分)、G5型を並列に連結して2013年に投入した「G5-Dual型」が好調で、15年まではこれを維持できるとみている。
 駒井 当社の燃焼式装置は、短時間で立ち上げが可能で、アイドル/ストップ状態を半導体製造装置の稼働状況に応じて自在に設定できるため、運転コストを抑えられる。G5-Dual型は、稼働状況に応じた2台/1台の切り替え、また1台をバックアップに使えば、稼働中でも除害装置の補修が可能だ。

―― 柔軟な稼働の設定が可能なわけですね。
 駒井 こうした運転コストの削減に加えて、オプションで燃焼式装置の排水量、水使用量を抑えた「省水化」を製品化した。フッ素や塩素を含む排水に耐性を持つ樹脂系素材を用いることで、排水量や水使用量の大幅な削減のみならず、部材の長寿命化によるメンテナンス費削減を実現できた。このオプションサービスは13年に評価を終え、14年から本格展開を開始した。
 半導体と太陽電池(PV)を主力市場に置いているが、半導体では燃焼式と水スクラバーがメーンとなっている。エピ成長や成膜プロセスでHigh-kやLow-kの採用などガス種の変更に伴う装置のメンテナンス変更、腐食対策、パーティクルなどの生成物の抑制への改良といったメンテナンス期間の延伸やコスト削減に努め、装置の小型化、省エネ化も推進している。

―― 海外市場での展開について。
 藤野 台湾、中国、シンガポール、米国、欧州の子会社に営業要員とテクニカル要員を配置し、多彩な除害装置の提案、納入後のガス種やプロセス変更に的確に対応している。こうして、台湾のロジック系および投資が再開したメモリー系や米国の大型案件、欧州のスポット的な中小型案件にまで受注につなげている。
 海外子会社では、現地の従業員を雇用し育成しているが、さらに、数年前から日本の技術スタッフを派遣し、指導/トレーニングを重ねている。
 海外のPFC除害に対する意識は、台湾で規制の強化が目立つ。米国は州ごとに規制が異なるため、工場の立地場所で影響を受ける。また、工場からの廃棄物を一括で最終処分する一昔前の方法に対し、最近ではポイント・オブ・ユース、つまり排出場所での除害処理へと変化が見られ、これも追い風だ。14年は海外の装置販売が50%を超える見通しである。
 駒井 台湾では、14年から除害装置の本格生産を開始した。製造技術のスタッフが常駐している。センサー、材料、素材に至るまで評価と調達ルートの確立に取り組んでいる。

―― その他の製品は。
 藤野 ドライ真空ポンプ一体型除害処理システム、PFCガスをCaF2(セメント原料に再利用可能)にするFDS型、累計6000台の乾式、米エアガード社の小型~大型まで揃えた水スクラバーを提供している。
 精密・電子事業カンパニーは除害装置とポンプ(ドライ真空、ターボ分子)などを扱う。真空ポンプと除害装置をセットで提供できるのは世界で2社のみであり、当社の強みだ。
 駒井 一体化することで、ユーザーはポンプと除害装置をつなぐ配管のことを考えずに済み、電気系統や水系統の1本化、窒素を含む口数の削減、配管内の生成物蓄積排除の設定、アフターサービスの一元化などメリットが大きいため、一層の提案活動を進める。


(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年11月12日号7面 掲載)

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