商業施設新聞
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No.481

カフェ文化


松本 顕介

2014/11/11

 取材直前に、10分でもいいから資料に目を通したくなる。そんな時、心強いのがカフェである。頭と心を整理して、スイッチを入れる。そんな儀式めいたものをかれこれ20年以上続けている。時間に余裕があれば取材後、時間が経つと判別が困難となるメモのおさらいと、緊張を解きほぐすのにもカフェは多いに役立っている。

 駆け出しの頃は今ほどカフェ、つまりセルフコーヒーショップは少なく、あたりをうろうろ探し回っていたらあえなく時間切れとなり、しぶしぶと取材先へ……。何もなく近くに唯一あったコンビニの缶コーヒーで間に合わせたこともある。ある時、あいにくの雨で左手に傘、右手に缶コーヒーと、当然資料などは見ることもできず、何のためにコンビニに入ったのやら……。そんな思い出もある。

 今でこそ、取材先の所在地の確認と、ついでに取材先から最も近いカフェの場所をネットで簡単にチェックすることができる。なんとも便利な時代だなとつくづく思う。

 そんなカフェ、コーヒー業界であるが、今第3の波「サードウェーブ」なるものが巷で話題だ。諸説もあるが、第1波は1970年代ごろまでのアメリカのコーヒー文化を指す。第2波がスターバックスなどのシアトル系らしい。高品質の豆やエスプレッソマシーンなどを使い始め、エスプレッソを主流としながら様々なアレンジコーヒーが楽しめるようになったのもこの頃だ。エスプレッソはイタリアが本場だが、イタリア系カフェチェーンの日本法人社長は「色んな物をいれるのはアメリカらしい。そこは同じエスプレッソでも違う」と一緒にしてくれるなと言わわんばかりだった。

 そして客の好みに合わせて、ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れていくスタイルで注目を浴びているのが第3の波と言われる「サードウェーブ」。その代表的なショップ「ブルーボトル」が来年日本に上陸する。今後、これまでのセルフコーヒーチェーンのように日本に根付き、大きく拡大するのか注目だ。

郊外型の屋号は「珈琲」が多い
郊外型の屋号は「珈琲」が多い
 こうしたなかで、最近コメダ珈琲店などロードサイド型フルサービスのコーヒーショップがじわり拡大している。発祥は、モーニングや喫茶店文化が根強い中京エリアだという。コメダに続けとばかりに、元町珈琲や珈琲らんぷも勢力拡大をうかがっている。ドトール・日レスホールディングスも星乃珈琲店を急速に拡大している。
 この郊外フルサービス型だが、なぜか屋号に掲げるのは「コーヒー」「カフェ」とカタカナではなく、「珈琲」なのだ。個人的には「珈琲」とすることで、くつろぎ感や、コーヒーの香りが漂ってくる感覚にさせられるし、どこか専門店的な響きも強調されるようだ。実際には、セルフコーヒーショップよりも、カレーライスやスパゲッティなど食事が充実していることが多い。さざ波から大きなウェーブになるかも。ネーミングにも注目したい。
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