先日、韓国地方自治体の公務員と北九州市を訪れた。3年前に初めて九州エリアを取材して以来、今回が5回目の訪問となった。福岡県や熊本県など産業団地の取材が中心だったが、日程の合間をぬって立ち寄った門司港はとりわけ印象深かった。
九州と本州は関門大橋で結ばれる。本州側は山口県下関市、九州側は福岡県北九州市門司区となる。「九州の玄関口である門司区において、門司港駅はかつての九州鉄道の起点として1891年に開設された」と、同行したジェトロ北九州の職員は丁寧に説明してくれた。
情緒あふれる港には今、港を取り囲むようにカフェ、雑貨屋が立ち並び、明治から大正時代にかけて作られた洋館がいまでも残っている。特に、港沿いのある食堂で食べた「瓦そば」は、門司港が元祖という。「寿司や刺身などいままで食べた日本料理も美味しいが、瓦そばは格別だ」と、同行した韓国公務員らは興奮気味に食べていた。そんな美味しいお昼ご飯を食べすぎたためか、午後の企業訪問先ではみんな眠気と必死に戦っていた。
門司港での過ごし方は様々だそうだ。「晴れた日の昼下がりにカフェでコーヒーを飲む贅沢もあり、少し歩いて国際友好記念図書館でアジアのポップなカルチャー誌を読む格好良さもある」(ジェトロ北九州職員)。ここではゆったりとした時間が流れている。地元の人、観光客、フラっと立ち寄る人。大正から昭和時代、そして今日に至るまで、多くの人々を受け入れてきたという。古くから中国・韓国との貿易も盛んで、ヨーロッパ船も寄港していたとか。来る人を選ばない。それがこの良さかも知れない。
さらに、門司港周辺の最大繁華街の小倉駅エリアは、筆者が北九州を訪れる度に好んで泊まる場所だ。小倉駅エリアは、九州国際展示場をはじめ、ビジネス関連の施設も集中している。「小倉駅や商店街と直接繋がるホテルは、良心的な価格設定のうえ、便利さに惚れた」(韓国公務員)。
ふと日々の仕事や生活に疲れを覚えたら、何も考えずにひとまず小倉・門司港にいってみてほしい。帰る頃には心の緊張がほぐれているに違いない。