電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第90回

三菱電機(株) 常務執行役半導体・デバイス事業本部長 眞田享氏


パワーデバイス 下期も需要好調
第7世代をまもなくリリース

2014/9/12

三菱電機(株) 常務執行役半導体・デバイス事業本部長 眞田享氏
―― パワーデバイスの需給動向は。
 眞田 好調だ。2014年4~6月期は前年同期比25%の増収を達成できた。産業用、電鉄・電力用、民生用、自動車の主要4分野ともに前年実績を上回っており、下期も好調を維持できる見通しだ。

―― 事業方針は。
 眞田 産業用と電鉄・電力用をベースとして、これに自動車用と民生用を上乗せするかたちで伸ばしていく。特に産業用では風力や太陽光といった新エネルギー関連に注力し、新分野である直流送電市場を開拓するため、3.3kVや6.5kVといった高耐圧品を拡大していく。高い信頼性を武器にして差別化していくつもりだ。

―― ウエハー売りやディスクリートビジネスは。
 眞田 当社はモジュールビジネスに特化している。パワーモジュールは、チップの性能はもちろんのこと、パッケージにも重要な差別化要素がある。高耐圧品であればなおさらだ。

―― SiCについて。
 眞田 当面はハイブリッドモジュールで医療用電源やパワーコンディショナー、パッケージエアコンといった各アプリにしっかり対応していく。電鉄用には1.7kVの1200A品をリリース済みだ。車両用インバーターではシリコンに比べて損失を約30%低減でき、体積も約40%小さくできる。フルSiC化に向け、歩留まり向上とコスト低減にも力を入れている。

―― シリコンの進化は。
 眞田 まもなく第7世代のCSTBTを本格リリース予定だが、第8世代の開発も進める。素子構造や薄型化など技術的なハードルが高くなるため従来の延長線上では実現が難しいが、シリコンもまだ進化する。すべてが急にSiCに切り替わることはない。

―― 増産対応について。
 眞田 今後需要の拡大が見込まれる分野を中心に先行して備えていく。実際の需要動向を見定めて投資の実行を判断していくが、まずは現有設備での生産量を最大限まで高めることに取り組んでいく。

―― 全量を自社生産する方針ですか。
 眞田 付加価値の高い製造プロセスは内部に留保し、そうではないプロセスは外部に生産委託することも考えて能力を増強していく。

―― 300mm化は。
 眞田 パワーモジュールビジネスにとってのメリット、デメリットの見極めが必要と考えている。さらなる大口径化が本当に効率化につながるのか、しっかりと検討していく。

―― 高周波・光デバイス事業について。
 眞田 GaN on Siの開発を急いでいる。LTE基地局用に小型・高出力のパワーアンプを商品化するつもりだ。既存のGaN on SiCについては衛星通信用にも活用していく。
 GaAsを用いた衝突防止用ミリ波レーダーの需要も伸びており、新しいビジネスの柱として注力している。将来の自動運転技術に貢献していきたい。
 光デバイスでは100Gbpsモジュールの開発と事業化がテーマだ。国内も中国も市場は活況で、データセンター向けにも引き合いがある。シェアの高いDFB&FPレーザーと合わせて高速通信インフラ市場を開拓していく。


(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年9月10日号1面 掲載)

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