(株)新川(東京都武蔵村山市伊奈平2-51-1、Tel.042-560-1231)は、世界初の自動ワイヤーボンダーの開発をはじめ、優れたロボット技術や画像処理システム、精密制御技術などを活かして最先端のワイヤーボンダー、ダイボンダー、フリップチップ(FC)ボンダーなどを展開している。6月より新社長に就任した長野高志氏に今後の事業戦略や製品戦略などを伺った。
―― 新社長に就任された今、まずは今後の抱負についてお聞かせ下さい。
長野 ご存知のとおり当社グループは今、6期連続赤字という厳しい経営環境にある。そのため、私の使命は一刻も早い黒字化の実現以外にはないと考えている。そのためには、グローバル化に対応した生産・技術・営業体制の定着など、これまで行ってきた各種改革をさらに推し進めて、企業体質を強化していくことが不可欠だ。
―― 具体的な施策について。
長野 コスト削減に向けた施策としては、2013年度よりタイ工場でワイヤーボンダー「UTC-5000シリーズ」の生産をスタートした。同シリーズはアジア市場をにらんで開発した装置であり、海外調達などによる収益性の改善、価格競争力の強化を図っていく。
なお、同工場は現在、月産100台体制を構築済みだが、今後はプロセス開発などを含め、技術開発から生産までを一貫して行える中核拠点としていく。
また、当社はベトナムにソフト開発のグループ会社を有している。両拠点は地理的にも近いところに位置していることから、連携を強化していくことで、装置のカスタマイズなどアジア地域でのカスタマーサポートを強化していく。
―― 販売戦略について。
長野 ワイヤーボンダーのUTC-5000シリーズをいかに海外のOSAT、IDMに採用していただくかがカギとなる。
13年6月に発表した銅線対応のワイヤーボンダー「UTC-5000NeoCu」は、UTC-5000の高生産性・高品質性能に加え、安定したFAB形成を実現する最新のガスチャンバーを搭載。Cuワイヤーボンディングの品質を向上するとともに、自己診断機能を採用することでポータビリティーの向上を実現した装置だ。
主なお客様での評価はおおむね終了(一部で進行中)しており、14年から売上高に寄与すると期待している。また、新興OSATなどにも攻勢をかけていく。
―― FCボンダーの引き合いなどは。
長野 当社では、TCB工法FCボンダーとして、ウエハー用の「LFB-2301」ならびにサブストレート用の「LFB-1102Super」を市場投入してきたが、市場の立ち上がりが当初の想定とは若干異なってきている。
アプリケーションプロセッサーの微細化に伴う新工法の採用により、早期の売り上げへの貢献を期待していたが、プロセスのコスト高などにより採用時期が不透明な状況にある。
一方で、クラウド関連でスピードを必要とするロジック/メモリー間ではFC接合が不可欠。当面はグラフィックプロセッサーやメモリーTSVへの採用に向けて評価を進めていく。
なお、当社は材料メーカーなどとアライアンスを組み装置開発を進めており、材料関連も含めた最適なソリューションの提供を推進している。
(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年8月27日号7面 掲載)