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Report17

新仙台市立病院が竣工、一般・小児・精神の救急強化、11月開院(下)


心臓血管外科・形成外科を新設、合併症対応へ精神科常勤医師確保が急務

2014/8/26

会見する亀山元信院長
会見する亀山元信院長
 新仙台市立病院(仙台市太白区あすと長町1-1-1、Tel.022-266-7111=新病院整備室)は、11月1日の開業へ向けて院内設備の整備とスタッフのトレーニングを進めており、亀山元信院長は、高度先端医療と専門医療などの政策的医療の充実を挙げ、仙台市民の命と安全・安心を守ることを使命として開院に備えるという。これらに対応する災害時の事業継続計画(BCP)や環境・省エネ対策など、施設面においても充実した施設整備が行われている。
 新病院の整備にあたり当初、求められたことに政策的医療を挙げている。このうち新たに提供するものとして、小児救急医療や身体合併症精神科救急医療、新生児特定集中治療室(NICU)などの設置がある。小児救急医療の総合的な提供と受け入れ体制の充実では、小児の内科的疾患の初期救急を担う「仙台市夜間休日こども急病診療所」を病院本館1階に設置し、2次・3次救急を担う同院救命救急センターと併せて、小児救急医療を初期から3次まで総合的に提供することで、受け入れ体制の充実を図る。
 身体合併症精神科救急医療の提供では、単科の精神科病院で対応が難しい身体疾患と精神疾患を併せ持った救急患者を対象とした身体合併症精神科救急医療の提供を行う。今回、最上階の10階病棟に閉鎖病棟を設けているが、現時点で常勤の精神科医師の確保ができておらず、早急な対応が求められている。
 NICUなどの設置による総合的・専門的な周産期医療の提供では、妊産婦、胎児、新生児への総合的かつ専門的な周産期医療の提供のため、新生児特定集中治療室(NICU)、回復期病床(GCU)を新たに設置し、地域周産期母子医療センターとして機能の充実を図る。
 さらに、充実する政策的医療として、より多くの救急患者を受け入れられるよう、救命救急センターの面積を拡大し、診察室や処置室などを増設し、集中治療室(ICU)および高度治療室(HCU)など救命救急医療の拡充を図る。
 また、災害拠点病院として、大規模災害時にも支障なく医療活動ができるよう、病院本館を免震構造とするとともに、新たに屋上ヘリポートを設置するなど、診療・救護活動が十分に行える機能を確保して災害時医療の対応力を強化する。
 さらに、感染症医療への対応では、救命救急センター外来から感染症病棟まで直接搬送可能なエレベーターを整備し、一般病棟と区分した運用を可能とするなど、第2種感染症指定医療機関として適切に対応できる機能を確保する。このほか、高度医療・専門的医療、救命救急医療の充実を図るため、新たに心臓血管外科および形成外科を設置する。
 患者サービスの向上に関しては、原則、予約制外来とすることで患者の待ち時間を短縮し、予約受け付けや入院手続き、医療福祉に関する相談など総合的な支援を行う「総合サポートセンター」を設置する。
 大規模災害に対する施設面での対策では、病院本館部分は免震構造を採用、厚生棟は耐震構造となっている。また災害時、緊急時に患者の搬送や受け入れを行うために屋上ヘリポートを設置した。縦横23×23mの広さで、対荷重9.3t。16年に宮城県が運用を開始するドクターヘリにも対応する。
 災害時対応スペースを確保し、多数の患者を受け入れることができるよう、エントランスホールやリハビリテーション室、講堂に医療用ガスの配管や非常用電源を整備している。供給電力は2回線受電で、災害時の停電に備え、2カ所の変電所から受電可能な設備を導入。さらに非常用発電機も設置して、通常消費電力の約60%を供給し、3日間の燃料を確保している。使用水は地下水を利用するなど、あらゆる事態に備えて事業継続性を担保している。
 一方、環境面では、すべての病室は外側に面した配置となっており、自然光を取り入れるとともに、壁は木目調を採用。病棟内を間接照明とすることで患者の眼に直接光が当たらない工夫もなされている。ただ、LED照明は初期投資が膨らむことで20%程度の採用にとどまっており、今後の更新を考えているという。
 今後、同病院では11月1日の開院へ向けて、同日の午前中に入院患者の移送を実施する。また外来診療は11月4日から開始する予定である。
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