学生時代は時々、プロ野球やJリーグの試合を観戦しに競技場まで足を運んでいた。スタジアムの周辺は、弁当やドリンクなどを売る出店(でみせ)で溢れているほか、試合前に来場者を対象としたイベントを行うこともあるので、周りをうろつくこともちょっとした楽しみだった。なかでも、とあるJリーグの試合前の来場者イベントで、ボールを蹴って1~9枚のパネルに当てる的当てゲームに、ちびっ子や学生などが100人以上の長蛇の列を成していた光景に驚いたことは、今も記憶に残っている。
現在はアマチュア陸上競技クラブの選手(100m、200m)として、試合をしに時々競技場へ行くようになったのだが、プロスポーツの試合の時にごった返していた出店がほとんど出ていないことが気にかかっていた。確かにアマチュアの試合は、甲子園やインターハイ、インカレ、日本選手権など全国区の大会、それ以外では大規模なマラソン大会を除けば、プロスポーツの試合ほど競技場に観客が集まらないのは事実だ。
去年の7月、渋谷区主催の陸上競技の記録会に出場した時は、ドリンク類を販売する出店1店しか店を出していなかった。雲ひとつない快晴で日中の気温は30℃を超えていたため、その出店はすぐに品切れとなってしまっていた。小生が購入しようとした時には品切れとなっていたので、もう数店ほど出店が出ていればと思ったものだ。品切れのため、競技場からかなり離れたコンビニにドリンクを買いにいくことになったのだが、炎天下を往復するだけで疲弊したことと、去年の5月以降は不調だったことが重なり、100m走は1着の選手に1秒近く離され、ブービーの7位にも0.2秒以上離されて最下位と散々な結果だった。
話が横道に逸れたが、アマチュアスポーツの試合に大して観客は集まらないので出店を出す意味はないという考えは変えるべきであると、このコラムで主張したい。例えば、某県A地区の中学校のサッカー大会が開催される場合、サッカー部員、顧問やコーチなど関係者、保護者、学校の応援団、地域の観客など、決して少なくない人数が競技場に集まるはず。そこに近隣のコンビニやドラッグストアなど小売店が出張販売を行えば、通常の売り上げプラスアルファが得られるのではないかと思う。
また、何を出店で販売するかによるが、何回か出張販売を行えば初期投資は回収できるはずだ。小生が学生時代にアルバイトしていたコンビニでは、近隣で2回行われる夏祭には必ず出店を出しており、フライドチキンや唐揚げ串などのホットフードやビール、コーラ、サイダーといったドリンク類が飛ぶように売れたものだ。ホットフードは、店内で調理して出店に並べるのだが、店内調理が間に合わなくなることもしばしばだった。
アマチュアの試合でも少なくない人数が
集まるのでビジネスチャンスはあるといえる
(写真は陸上競技記録会の様子)
個人的には、稼げるチャンスが身近にあるならば、それを逃さないのが商売だと思っている。小さなイベントでも積極的に出張販売などを行っていけば、プラスアルファの売り上げが得られるほか、店のPRにもつながるはずだ。日本全国で毎日何かしらイベントは開催されているので、イベントの数ほどビジネスチャンスはあるといえる。もし、このコラムを経営者層の方が目にしていたら、戯言と一笑に付すのではなく、ビジネスチャンスの1つとして是非参考にしていただきたい。