商業施設新聞
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No.466

喫煙者のひとりごと


若山 智令

2014/7/22

 喫煙者には肩身の狭い世の中になってきたと感じる今日この頃。公共の場ではほとんど吸うことが許されず、飲食店では完全禁煙のところも多く、分煙がありがたく感じるくらいである。以前、ある居酒屋に行ったとき「禁煙席であればすぐにご案内……」と言われて驚いたことがある。居酒屋にも禁煙の流れがきた。いよいよである。体にとって「百害あって一利なし」ということは、耳にタコができるほど聞いた。それを承知でタバコと向き合っている喫煙者の叫びである。

 消費税が増税されるたびにタバコも値上がりをしてきた。缶コーヒーと合わせてワンコインでおつりが来た時代はもはや過去の話で、今ではタバコ1箱で500円ほどする。嗜好品の範疇をそろそろ越えそうである。それでも日本はまだまだ優しい方だという話をよく聞く。海外では1箱1000円以上することもあるからだ。

 実際に喫煙者が減っているという背景も、禁煙を推し進める要因になっているのではないか。JT全国喫煙者率調査(2013年)によると、成人男性の平均喫煙率は32.2%であるらしい。しかも約20年間減少し続けている。喫煙率が最も高い年代は40歳代だそうだ。一方、成人女性の喫煙率は10.5%で、ピーク時よりは減っているもののほぼ横ばいという結果である。ちなみに5月31日は世界禁煙デーとされ、日本でもシンポジウムが行われ、タバコに関する講演などが行われている。

 商業施設では、喫煙ルームを各フロアとは言わないまでも、複数カ所に設置している。室内は空気がキレイで、においもあまり感じないため、個人的には快適であると思う。しかも最近は照明やデザインに凝っているところも多い。施設からすれば、これが直接集客や売り上げにつながっているかどうかは判断できないが、サービスの一環としてはありがたい限りである。無論、吸わない人からすれば、理解し難いことであることは分かっている。

 一方、喫煙ルームを設置するにしても、もう少しどうにかしてほしいと感じるところがある。それは、新幹線など駅のホームにある喫煙ルームである。とある駅では、いつも定員オーバー気味なほど混雑している。いくら喫煙者が少数派になってきたとはいえ、あの空間はキツイと感じることもしばしばある。乗車すれば長時間吸えなくなる。せめて、出発前の一服は快適に吸いたいと思う。

この子とお別れする日が近いのか
この子とお別れする日が近いのか
 とは言うものの、30歳になり周囲も禁煙する人が増えてきた。私は常々「意志が弱いからタバコをやめられないのではなく、タバコをやめないという意志が強い」ということを言ってきた。その言い訳にもそろそろ限界を感じている。また、喫煙で落ち着けるはずが、喫煙場所が少ないため、探すことに労力を使うという現実もある。箱にも喫煙者に対する厳しい注意書きがある。来年の世界禁煙デーを禁煙して迎えられたら幸いである。
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