商業施設新聞
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No.461

“ムサコ”の称号


松本 顕介

2014/6/17

 東京、神奈川、埼玉県内には「武蔵」の名称の付く駅が21もある。ざっと拾ってみると、武蔵五日市駅(あきる野市)、武蔵浦和駅(さいたま市)、武蔵小金井駅(小金井市)、武蔵小杉駅(川崎市)、武蔵小山駅(品川区)、武蔵境駅(武蔵野市)、武蔵白石駅(川崎市)、武蔵新城駅(川崎市)、武蔵砂川駅(立川市)、武蔵関駅(練馬区)、武蔵高萩駅(日高市)、武蔵中原駅(川崎市)、武蔵新田駅(大田区)、武蔵野台駅(府中市)、武蔵引田駅(あきる野市)、武蔵藤沢駅(入間市)、武蔵増戸駅(あきる野市)、武蔵溝ノ口駅(川崎市)、武蔵大和駅(村山市)、武蔵横手駅(日高市)、武蔵嵐山駅(埼玉県嵐山町)といった具合だ。

4月に開業したららテラス武蔵小杉。またひとつ「ムサコ」の顔ができた
4月に開業したららテラス武蔵小杉。
またひとつ「ムサコ」の顔ができた
 神奈川県内でトップを争う商業開発激戦区、武蔵小杉。いつのころからか「ムサコ」(ちょっと感度を高めて「MUSAKO」かも)と命名されていた。
 数年前、初めてこの名前を聞いた時、正直違和感を覚えた。しかも、その名を発したのは名古屋から移り住んだ輩だったからだ。にわかに出た地元愛がよぎったのかもしれない。川崎出身の身としては、「武蔵小杉」は“コスギ”。決して「ムサコ」とは呼ばず、武蔵を姓とするなら、いうなれば名、つまりファーストネームで呼んでいた。

 武蔵小杉駅に乗り入れるのは東急東横線のほかに南武線などがある。南武線で武蔵名がつくのは、中原、新城、そして溝ノ口。呼称に武蔵は入れない。「ナカハラ」「シンジョー」。溝ノ口はやや長く呼びにくいので「ノクチ」で収まっている。

 ちなみに、南武線沿線には、矢野口という駅もある。その昔、沿線在住から日の浅かった知人は「ノクチ」を矢野口駅だと思っていて、会話がもうひとつ噛み合わなかったことがあった。溝ノ口駅は90年代中ごろ、駅前が土地区画整理され再開発ビルが建ち、丸井が核の商業施設が誕生した。その施設名は「ノクティ」。“ノク”の称号を手にしたのだ。
 
 それを考えると、大型開発が大きなきっかけになるのかもしれない。武蔵小杉は2000年代から大規模マンションが立ち並び、新駅もでき、今は大型商業施設の開業ラッシュを迎えている。昨年東急スクエア、今年は三井不動産のららテラスが4月にオープン。今秋にはセブン&アイグループの「グランツリー」が開業を控える。本紙関西支局の記者も名前だけは知っている。神奈川のローカルから全国区へと押し上げられたからこそ、「ムサコ」の冠が与えられたのか。

 7月、東小金井駅の高架下商業施設「nonowa東小金井」に誕生する生鮮食料品館は「ヒガコマルシェ」である。「ヒガコ」である。さらに15年春開業の武蔵小金井駅の商業施設名は「nonowa武蔵小金井」。ここは人々から「nonowaムサコ」と呼ばれるか、個人的には注目したい。戯言ついでに南武線には「河原(ガワラ)」とつく駅が北から「分倍河原(ブバイガワラ)」「宿河原(シュクガワラ)」「向河原(ムカイガワラ)」と3つもある。これはどうなるのだろう。
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