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第7回

日本ゼオン高岡工場、4K需要増でフィルム生産拡大、研究開発型工場を標榜


2014/6/10

日本ゼオン 高岡工場
日本ゼオン 高岡工場
 日本ゼオン(株)(東京都千代田区丸の内1-6-2、Tel.03-3216-1772)は、合成ゴムや高機能樹脂、電子材料などの生産・販売を手がける国内屈指の化学メーカー。その主力工場の1つとして富山県高岡市にあるのが日本ゼオン高岡工場(高岡市荻布630、Tel.0766-21-0252)である。
 JR高岡駅から車で15分、万葉線荻布駅から徒歩5分の距離にあり、万葉集歌人大伴家持が四季の変化の美しさを題材に多くの歌を詠んだ二上山のふもとに位置する。1956年に塩化ビニール製造工場として誕生後、電子材料のフォトレジスト、特殊合成ゴム「ゼットポール」、次世代フッ素系溶剤「ゼオローラ」などの生産を担当。そのほか工場敷地内には、グループ会社でカテーテルなどの医療器材を生産する「ゼオンメディカル高岡工場」や同じくグループ会社で光学用フィルムなどを生産する「オプテス北陸工場 高岡製造所」も隣接しており、隣市の富山県氷見市には「オプテス北陸工場 氷見製造所」も有している。
 オプテスは、液晶テレビやスマートフォン、タブレットなどに使用される光学フィルム「ゼオノアフィルム」を生産しており、高岡拠点の生産品のなかで最大規模の生産額を誇る。光学フィルムの製造法としては世界で初めて溶融押し出し法を採用したことで知られており、従来の製法に比べ優れた光学特性を実現している。また合成樹脂を溶かしてそのまま押し出すため、従来法に比べ設備がコンパクトで済み、生産性が高いことも特徴だ。需要も堅調に推移しており、近年は4Kテレビの需要増を背景に、同社が手がける高機能製品の需要が増加。その需要に対応するため氷見製造所では現在増設を進めている。
 高岡工場の特徴の1つが、研究開発型拠点を標榜している点。その理由について、工場長の藤澤浩氏は次のよう語る。「日本ゼオンの他の工場はコンビナート内に拠点を構えている。そのため原料などがパイプラインで供給され、高いコスト競争力を生み出すことができる。しかし、コンビナート内の拠点ではない高岡工場はそれができない。そのため研究開発に注力し、付加価値の高い製品づくりを常に心がける今のかたちに行きついた」。その研究開発体制をより強化するため、近年は中核開発拠点である川崎の総合開発センターから機能移管を進め、2013年度末までに光学フィルムならびに医療器材に関しては研究開発機能をすべて高岡拠点に集約した。
藤澤浩工場長
藤澤浩工場長
 今後の方向性については「空きスペースなどを考えてもこの高岡工場で新規製品を大量生産することは難しい。また製品消費地の観点から見ても、今後大量生産品の製造拠点は国外になるだろう。そのなかで高岡工場は、集約・強化した新製品の研究開発部分に加え、今後はパイロットプラント建設まで踏み込み、生産プロセスをパッケージとして供給できるような役割が求められるだろう」(藤澤浩工場長)としており、高い製品開発力を武器に新製品のマザー工場としての位置づけを高めていく方針だ。
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