「デザイン・シンキング」という言葉がある。物事の決定を論理的なプロセスではなく、商品開発から販売計画まで課題を抽出して、それを並べて解決策の絵を描くのである。デザイン思考の介入は今や経営にまで及んでいる。「デザイン・シンキング」で開発した商品は支持される可能性が高い。なぜなら製造現場、販売現場、消費者ニーズなどすべての課題を解決したうえでの商品だからだ。従来の上辺だけのデザインではなく、内部から染み出るようなデザインとなる。
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「デザイン・シンキング」を筆者なりに換言すれば、例えば司法試験の合格を目指す場合、起きている時はすべて勉強する、ではデザインも何もあったものではない。自分の長所、欠点、得意、不得意、興味のある分野、勉強に集中できる時間帯、自分の必要な睡眠時間、食事の採り方、リフレッシュ法などあらゆる事を見据えて、受験勉強をデザインするのである。そうすればバランス感覚の取れた弁護士(商品)が誕生するだろう。
最近の商業施設は随分オシャレになった。熾烈過ぎる競合他社との生き残り策が生んだ結果であろう。外食店舗もナショナルチェーンは例外なくデザイン性が高い。換気扇が油で汚れた美味い中華料理店もあるが、多店化を目指すなら、デザイン性抜きでは考えられない。接客マニュアルも一つのデザインと言えるだろう。状況に応じた適切丁寧な言い回しを聞くと、日本語の美しさを感じてしまう。商品の製造ラインや物流センターもデザイン性抜きでは考えられなくなっている。
「デザイン・シンキング」は個人にも当てはまるだろう。仕事の能力があっても、よれよれのスーツと磨り減った靴を履いた昔の刑事のような格好をしていれば、真価をなかなか見抜いて貰えないだろう。自分をデザインすることも大切だ。
企業の将来性を見抜く場合、店舗やオフィス内のデザイン性の高さも物差しのひとつになると思う。MBA取得者より高感度のデザイナーが求められる時代に突入している。