商業施設新聞
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No.456

接客が日本を救う


若山 智令

2014/5/13

 いい接客をされ、お目当ての物でなくてもつい買ってしまったという経験は1度や2度はあるだろう。特に洋服などの場合、自分に似合っているかどうかなど関係なくなる。心地よく買い物ができたという満足感のほうが勝ってしまう。いい接客は日本を救うと思う。

店員さんオススメのネクタイ
店員さんオススメのネクタイ
 先日、ネクタイを探していたときの話だ。Aという店に入った。ネクタイコーナーが見当たらず探していると、店員さんが「何かお探しですか」と声をかけてくれた。売り場まで案内してもらい、商品を選んでいると付かず離れずいい距離感を保ってくれた。まるで見守られているような感覚で、質問にも的確に答えてくれ、持っているスーツとの相性や、コーディネートまで一緒に考えてくれた。正直、そこまで好みのものではなかったが、店員さんの対応が良かったので買うことにした。

 人によって、いい接客の感じ方は違うと思う。声をかけず自由に選ばせてもらうほうがいいという人もいるはずだ。私もかつてはそういう考えで、話しかけられずに自分で勝手に見るのが好きなタイプだった。だが歳を重ねるにつれ、段々といい接客の人から買いたいと思うようになってきた。自分にはセンスが欠けているという理由もあるが、心地よい接客は、いい商品を見つけるよりもよっぽど価値があると思う。

 「ショールーミング化」という言葉が登場して久しい。今さら説明するまでもないが、商品はリアルの店舗で見て、購入はネットショッピングでというものである。確かにネットで買ったほうが安価なケースが多いし、早い場合もある。高額商品であればあるほど、その傾向は強いかもしれない。小売業界にとってもネットの影響というのは少なからずあるはずだ。では、どこで差別化を図るかといえば接客しかないと思う。心のこもった姿勢は必ず客に伝わるはずだ。

 家電量販店では「エキスパート」「コンシェルジュ」などの名称で知識の深い専門スタッフを配置して、接客をしている。やはり安心感からなのだろうか、こうしたサービスは好評だという。私が家電を買いに行ったときも、ある店では非常に丁寧な対応をしてくれて感心した覚えがある。こうした店がひとつでも増えてくれたらいいと願う。

 消費税が増税され、駆け込み需要の反動もあり小売業には厳しい時期かもしれない。だが、それを打開するのはいい接客であると思っている。やはりフェイス トゥ フェイスはビジネスの基本であると考える。
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