商業施設新聞
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No.454

変わる沿線イメージ


永松 茂和

2014/4/28

 学生時代に千葉県の松戸に住んでいたことがあり、通学などで常磐線をよく利用した。電車で都心部まで約20分の好立地であるが、千葉県内から東京を走る総武線と比較され敬遠されてきたイメージがあった。現在は同じく千葉県のベッドタウンである市川市に住み、総武線を利用しているが、便利さという点ではそれほど違いはない。では違いは何かというと、起点と行き先だろう。常磐線の場合、東京側からみると、上野起点で行き先は茨城や福島、総武線は東京起点で行き先は遠くても千葉県内である。これもやはりイメージの問題が大きいのだ。

 昔から労働者の街というイメージがある上野駅、かたやホワイトカラーの代表である東京駅を始発とする違いは大きい。同じ常磐線沿線でも都心に向かう場合、途中で上野方面の常磐線と、大手町方面に向かう千代田線に分かれるがこれもイメージが異なるのだ。そういえば、常磐線に夕刻に乗ると、イカと酒臭さが社内に充満していた記憶があり、今となってはいい思い出だ。

 通学などで頻繁に利用したため、馴染みがあり、好きな路線ではある。学生時代には常磐線沿線の駅でアルバイトをした。南千住駅近くでは、日雇い労働者的な仕事、北千住駅近くでは水商売的な仕事もした。その駅近くではふさわしい仕事といわれれば、そうかもしれない。これも足立区の持つイメージや、北千住の飲み屋街、南千住のドヤ街のイメージがそう思わせるのであろう。すでに松戸から引っ越して20年以上経つため、常磐線を利用する機会はたまにしかなくなってしまった。

変貌する南千住駅周辺
変貌する南千住駅周辺
 時間の経過は恐ろしいもので、北千住、南千住駅前は今では様変わりしつつあり、特に北千住界隈は商業施設が多数立ち並ぶ。当時若者のファッションリーダー的な存在であり、都会的センスの象徴であった丸井の北千住店は全店の中でもトップの売り上げにあるというから驚く。


大型マンションが立ち並ぶ駅周辺
大型マンションが立ち並ぶ駅周辺
 ところで先日、久方ぶりに常磐線に乗る機会があった。南千住、北千住駅から程近いところに三菱地所が開発したポンテポルタ千住がオープンしたためだ。周辺には高層マンション群が立ち並び、街が大きく変わっている。商業施設内覧会の時には南千住駅から降りて久しぶりに周辺界隈を歩いてみたが、昔のドヤ街のイメージは薄れ、駅もきれいになっている。いまや沿線イメージに取り残されているのは自分だけなのかもしれない。
4月18日にオープンした「ポンテポルタ千住」
4月18日にオープンした「ポンテポルタ千住」

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