3月31日から診療を開始した(医)徳洲会 名古屋徳洲会総合病院(愛知県春日井市高蔵寺町北2-52、Tel.0568-51-8711)の新病院では、診療部門の機能を充実し、スペースを拡張した。
新病院の地上2階をみると、内視鏡センターは、上部2室、下部1室とリカバリールームを設けた。人工透析センターでは、旧病院のユニット22床、月80人ほどの治療を新病院でも継承しつつ、徐々に増設する。最大40床まで設置できるスペースを確保している。外来化学療法は、旧病院の5床から段階的に10床に増やす計画である。
リハビリテーション部門は、約500m²ものスペースを確保。従来の脳血管疾患、運動疾患、呼吸器疾患、心大血管疾患、がん患者の各施設基準リハビリテーションIを継承するとともに、外来リハビリも開始した。リハビリでは、整形外科や脳神経外科の急性期を中心に、早期離床と廃用症候群の予防に力を入れている。また、同病院は、徳洲会の心臓血管外科の拠点病院として多くの心臓手術の実績があり、術後ニーズに対応するため、心大血管リハビリ用のスペースを広くとる。
高気圧酸素治療センターでは、CO中毒、脳梗塞、腸閉塞、末梢血管障害といった多くの障害に対応しており、同様の施設が少ない三重県からも患者を受け入れている。こうした治療機能は、近隣では公立陶生病院(愛知県瀬戸市)や名古屋共立病院(名古屋市)が備えている。
旧病院では20人/日の受け入れが最大であった健診センターは、新病院では、その数倍は受け入れが可能な広さを確保しており、スタッフの増員を図りながら、徐々に受診者を増やしていく。
3階では、手術室を旧病院の4室から9室に増設しており、このうち1室はハイブリッド手術室とし、1室には手術支援ロボットのダ・ヴィンチを移設した。
ハイブリッド手術室は、血管造影装置(シーメンス社製)を備え付けた。手術室で、頭部、大動脈、下肢の血管など、カテーテル室で行っていた血管内治療が可能なばかりか、治療中に予期せぬ事態が起こった場合は、すぐに外科手術に移行できる。さらに、全身の3次元画像を構築可能なことから、術中の全身状態が容易に把握できる。同病院では、将来的に重症心不全の患者にも大動脈弁置換が可能なTAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)を視野に入れており、ハイブリッド手術室の整備はそのための準備の一環でもある。
同病院では2012年1月に、徳洲会として2台目となるダ・ヴィンチを稼働させた。ダ・ヴィンチは、国内においては前立腺がん全摘出術のみ保険適用されるが、同病院では腎臓手術や大腸がん手術なども実施しており、将来の保険適用領域拡大を見越した知識、技術を蓄積している。
ICUは、旧病院の6床から8床に増床し、8床のうち2床は陰圧個室とした。ICUで治療を受けるのは、心臓血管外科系の患者がおおむね7割、循環器内科系が2割、残りがダ・ヴィンチの術後患者や外科的患者。ICUは、最大10床まで対応可能である。また、同病院では、将来的にHCU 12床を導入する。
アンギオは、2室から3室に増設し、心臓カテーテル検査・治療体制を強化した。
新病院の4階は、東病棟が循環器内科42床、西病棟が外科46床、5階は東病棟が整形外科46床、西病棟が脳外科・泌尿器科46床、6階は東病棟が療養50床、西病棟が内科46床、7階は緩和ケア病棟18床、保育所、栄養科、厨房、職員食堂、8階が機械室、屋上がヘリポートとなる。46床の病棟は、4人室×8室、個室12室、特別室2室が標準的な構成。個室と4人部屋を中心に、2人部屋を一部確保し、総病床数350床のうち個室は84室とした。
新病院では、救急ブースの拡張とヘリポートの新設、集中治療体制や先進医療機器の導入による高度・救急医療の強化から、がん医療、慢性期医療、さらには緩和ケアまで、より一層の質の高い医療の提供が可能となっただけでなく、将来にわたり志向する医療機能の強化を見越した拡張性のある建物構造となっている。