2012年2月に会社更生法を申請した旧エルピーダメモリは、13年7月末に正式に米マイクロンテクノロジーの傘下に入った。14年2月末には社名を「マイクロンメモリ ジャパン」に改めたほか、トップも坂本幸雄氏から木下嘉隆氏に代わり、経営体制の刷新が図られた。「日の丸DRAM最後の砦」ともいわれたエルピーダの名前は消えてしまったが、それでも広島工場を軸とする開発・生産といった根幹が国内に残ることに変わりはない。木下社長にDRAM業界の現況と今後を語ってもらった。
―― まずは更生法申請から今日に至るまでを振り返って。
木下 マイクロンが正式にスポンサーに決まってからは、非常にスムーズに統合作業を進めることができたと思っている。この間、DRAM業界を取り巻く環境は非常に良好で、競合他社の工場火災事故といったアクシデントもあったが、需給環境は健全なものであった。
―― マイクロンとの統合によるメリットは。
木下 製品ポートフォリオの拡充、言い方を換えれば「一本足打法」を解消することができたことが最も大きい。エルピーダはこれまで、汎用とモバイルという違いはあるが、DRAM分野に特化して事業を展開してきた。一方、マイクロンはDRAMとフラッシュ双方を持っており、メモリービジネスの安定化を図ることができる。さらに、モバイルだけでなく、サーバーや産業機器、車載、SSDといった具合に今後成長が期待できる最終アプリケーションが多岐にわたることも一緒になったメリットだ。
―― 現在のDRAM業界をどう捉えていますか。
木下 言い方は悪いが、DRAM業界は過去30年間、血みどろの戦いを続けてきた結果、参入メーカーの淘汰が進み、現在は3社に集約された。3社になったというのは非常に大きな意味があり、市場の競争環境が変わったことで、これまで経験してきたような価格の乱高下というのは、非常に起きにくくなっていると思う。
―― では、今後はどういったところが勝負のポイントになるのですか。
木下 微細化やスケールメリットは、これまで同様に重要なポイントだが、需要動向を見極め、プロダクトミックスの最適化を図る重要性が増している。具体的にいえば、サーバー、グラフィックスDRAM、モバイルDRAMそれぞれの需要を勘案して、最適なウエハー投入および製品投入を行うことだ。
(聞き手・本紙編集部)
(以下、本紙2014年4月2日号1面)