■発刊趣旨とご購入のご案内

　2014年のプリント配線板業界は、パソコン市場の低迷に伴い、一部製品では伸び悩みがあったものの、モバイル端末の主役であるスマートフォン（スマホ）市場の拡大、さらには車載用基板の需要拡大に伴い、総じて堅調に推移しました。15年も引き続きパソコン市場の低迷が予測されていますが、スマホは世界全体で前年比約1割増となる14億台が出荷される見通しであり、配線板業界もモバイル端末中心の産業構造に大きくシフトしています。加えて、時計型やバンド型といったウエアラブル端末も本格的に市場を形成しつつあり、高密度基板の需要拡大が期待されるところです。
　モバイル端末向けでは、高密度かつ薄型の基板が求められており、大手のプリント配線板メーカーの多くが主戦場と位置づけています。端末の心臓部となるアプリケーションプロセッサーにはFC（フリップチップ）CSP基板が求められるほか、マザーボードにはエニーレイヤー構造を用いた高密度ビルドアップ基板が主流となっています。また、昨今は無線部や電源部に数多くのモジュールが搭載されており、薄型モジュール基板の需要拡大が顕著であります。
　今後もスマホをはじめとするモバイル端末向けに需要拡大が期待される一方、WLP（ウエハーレベルパッケージ）などの「基板レス」技術も有望視されています。コストダウンに加え、低背化も図れるとして、プリント／パッケージ基板市場の今後を左右することが十分に予想されます。
　また、電装化が進む自動車も大きなアプリケーションとして飛躍を遂げています。車載用基板はコンシューマー分野に比べて品質要求が高く、日系メーカーが得意とする分野です。放熱基板に加え、昨今では車間距離検知などの用途で搭載が見込まれているミリ波レーダー用基板の開発も活発化しています。
　本書『プリント回路メーカー総覧 2015年度版』は、ビルドアップ基板、パッケージ基板、車載用基板といった成長分野を網羅しつつ、各社別に市場戦略や設備投資計画の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾の最新事情も収録し、世界のプリント配線板産業を体系的に捉えた総合書に仕上げております。
　内容構成としては、巻頭特集では、プリント／パッケージ基板を取り巻く事業環境をまとめた最新動向を掲載。第1章では14～15年のプリント配線板市場動向を総括・展望するとともに、成長分野であるパッケージ基板、エニーレイヤー構造のビルドアップ基板の動向をまとめました。第2章では国内企業のなかでも大手・注目企業をピックアップし、業績・投資動向などをより詳細にレポートしています。
　第4章では台湾や韓国を中心とする海外メーカーの生産・投資動向を掲載、第5章では国内外のEMS企業の動向について収録しています。EMS企業の動向はプリント基板業界の動向を把握するうえで近年、重要度がさらに増しています。プリント回路を生産するうえで重要な装置・材料分野の動向を掲載した第7章では、銅張積層板の動向をはじめ、LDI／DIなどの露光装置、さらにSMTマウンターの最新状況をレポートします。第8章の関連メーカー・商社の各社データについては、最新の情報を盛り込むよう努めました。
　弊社では、プリント回路製造業を含む電子産業の専門紙として『電子デバイス産業新聞』を発行し、業界の動静を取材・報道しておりますが、本書は同紙編集スタッフの手に成るものです。業務ご多忙の中、我々の取材に快く応じて下さった業界諸賢のご協力に感謝致します。業界および読者諸賢のご批判、ご叱正、ご助言をお願い申し上げます。

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■内容構成