■発刊趣旨とご購入のご案内

　WSTS（世界半導体市場統計）によると、2013年の半導体市場成長率は前年比2.1％増となり、12年から緩やかな成長に転じる見込みです。金額では2978億ドルと、3000億ドル突破を目前に控えていますが、欧州を震源地とした世界経済の不透明感に加えて、これまで牽引してきた中国をはじめ新興国諸国の経済成長の減速が懸念されております。半導体を大量に消費するパソコンの販売不振や、高機能スマートフォン（スマホ）の一部で当初予測よりも需要に陰りが見られるなど、不安材料が台頭してきました。しかし、スマホやタブレット端末といった新たなネット対応のモバイル機器の需要は当面堅調と見られます。
　日本の電機市場は、12年暮れに発足した第2次安倍内閣が掲げる経済政策「アベノミクス」の追い風もあって、行き過ぎた円高の是正や新成長戦略の恩恵が期待されるとして、企業業績にも一部で明るさが出てきました。13年度はこうしたプラス要因をしっかりとキャッチして事業拡大に望みたいものです。
　米マイクロンの傘下入りが確定となったエルピーダメモリやロジックメーカー最大手のルネサス エレクトロニクスの深刻な経営不振など、「日の丸半導体」は史上かつてない厳しい状況に追い込まれているのは周知の事実です。しかし、決して希望がないわけではありません。節電や再生可能エネルギーへの期待などから、LED需要やパワー半導体、あるいは太陽光発電向けのパワーコンディショナーなどといったエコデバイスの市場拡大が大いに見込まれています。心機一転、ピンチをチャンスに変える時代が到来したともいえます。
　今後とも半導体需要を牽引するものとしては、スマホなどの高機能携帯電話に加えて、将来の成長市場として大いに期待されているタブレット端末、さらにインターネット（スマート）テレビといった新たなセットの大ブレイクも期待されており、HEVや燃料電池車、そして医療・介護分野など、関連する半導体デバイスを牽引する大物アプリケーションが続々と控えております。「車載」「環境・省エネ」「医療・健康」をキーワードに関連機器が半導体消費を牽引する――これが13年度以降の国内半導体市場を強く下支えしていく構図です。
　本書『半導体産業計画総覧』は、このように急ピッチで様相を変えていく半導体業界の今に迫りながら、マクロからミクロまでの動向を的確に捉えるものとして、1982年に創刊しました。多くの読者諸賢より厚い信頼ならびに高い評価を頂いております。今版では、日本および世界の半導体各社の生産計画、投資計画、研究開発動向、製品別動向などについて内容を刷新するとともに、グラフなど図表を多数掲載し、勢いのある韓国・台湾勢の最新動向を盛り込むなど、利用の便を図るよう努めました。
　弊社は、半導体産業界唯一の専門紙である『半導体産業新聞』を発行する一方、『エコデバイス革命』『液晶・EL・PDPメーカー計画総覧』『プリント回路メーカー総覧』『半導体工場ハンドブック』といった関連図書を多数刊行するなど、半導体産業界の取材、報道に日夜専念しています。本書は同紙誌編集スタッフの手によるものです。読者諸賢のご批判、ご叱正、ご助言をお願い申し上げる所存です。

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■内容構成