■発刊趣旨とご購入のご案内

　日本の人口は、2010 年前後の1 億2800 万人をピークに、15 年には1 億2660 万人、20 年に 億2410 万人、25 年には1 億2066 万人へと減少すると目されています。高齢化率は1994 年に14％を超え、2010 年9 月には、「超高齢社会」の目安とされる21％を上回る23％に達しました。高齢化率（65 ～ 74 歳／ 75 歳以上）は、15 年26.7％（13.7％／ 13.0％）、20 年29.1％（14.0％／ 15.1％）、25 年30.4％（12.3％／ 18.1％）と予想されており、また、加齢に伴う要介護者の増加、介護度の上昇が不可避となります。
　これに対し、生産人口（20 ～ 64 歳）、若年人口（19 歳以下）は減少が続くと予想され、介護保険、医療保険の負担が大きくのしかかります。
　こうしたなか、国は「社会保障・税一体改革大綱」（12 年2 月17 日閣議決定）を打ち出し、これに基づいて、12 年4 月に診療報酬・介護報酬のダブル改訂が行われました。
　ダブル改訂により病院、老人保健施設はもとより、特養ホームの入所者までも、可能な限り高齢者住宅や自宅へ復帰させるとともに、訪問看護、介護、往診、看取りなど在宅での医療、福祉サービスの提供へと誘導を図っています。
　このため、居住系は11 年度の特定施設15 万人分を25 年度に24 万人分、グループホーム16万人分を37 万人分へと増加させるとともに、サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）の整備を促進するため、11 年度325 億円、12 年度355 億円、13 年度340 億円の補助金を計上しました。高齢者住宅の比率を4.4％まで引き上げる目標であり、これには年平均6 万戸の建設・供給が必要です。
　施設でかかる費用を圧縮するため、「施設から在宅へ、地域へ」をキーワードに掲げ、地域包
括ケアシステムの体制構築を目指しており、この中核に、従来の訪問看護・介護サービスに加え、これらを融合し、新たに創設された24 時間随時対応定期巡回サービス、見回りサービスと、サ高住が位置づけられています。
　上記の大綱では、「どこに住んでいても、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会を実現する」ことが目標に掲げられています。本書では、高齢化の進展に伴う医療、介護需要の増加と在宅誘導施策が、高齢者住宅や介護サービス市場に大きなビジネスチャンスを生んでいると捉え、巻頭特集①では、急成長を続ける高齢者居住施設、サービス付き高齢者向け住宅の企業、事業者および介護事業者の有力52 社の最新動向をまとめました。巻頭特集②では、急増するサ高住の現状や計画、医療法人・社会福祉法人による住宅と手厚いケア体制の状況や、調剤薬局・ドラッグストアなどの関連企業、さらには建設業、不動産業など異業種からの参入状況を紹介しています。
　抑制を図るとはいえ、介護施設は12 年度末の92 万人から14 年度末には99 万人まで増設する目標で、第１章で国の施策と都道府県の整備目標数を解説、第2 章では都道府県別の介護保険施設（特養ホーム、老人保健施設、グループホームなど）の個別計画を、サ高住の整備と合わせて計1300 件以上収録しております。
　弊社では、病院、特養ホーム、老人保健施設など医療・福祉関連施設の新築・増改築計画を中心に斯界の動向を週刊で速報する『医療産業情報』およびその集大成版である『病院計画総覧』などを刊行、また『医療産業情報』Web サイトを公開しております。本書はこれら紙誌の編集スタッフの手によるものです。読者諸賢のご批判、ご助言をお願い申し上げる所存です。

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■内容構成