■発刊趣旨とご購入のご案内

　パネルの価格下落が進んだ2022年を抜け、23年は本格的な市場回復には至らなかったものの、パネルメーカーがパネル価格市場を主導しようという試みが奏功し、生産調整を行うことで価格は微増に反転して推移しました。25年からの本格回復に向けての兆しが見えた23年ではありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻の終結が見えず、欧州を中心に端末を買い控える傾向が続き、セット販売を左右する消費者マインドが未だ低迷していることから、24年上半期も23年のはっきりしない空気を引きずりそうです。
　しかしながら、24年は夏季オリンピックやIT機器の買い替え需要などがあり、徐々に雲間から日が差し込んでくるようです。ともあれ、ディスプレー市場、特に市場を大きく左右する大型パネル=TV市場はすでに成熟市場となって久しく、このレッドオーシャンを泳ぐ知恵を川上～川下の各メーカーがそれぞれ持ち合わせている業界でもあります。大型から小型まで、人々の生活に密着し、なくてはならないディスプレーは、22年の未曾有のパネル不況の時期にさえ、新しい進化へと歩を進めてきました。
　数年前から注目が高まっているマイクロLEDは、26年の上市予定と当初の見込みよりも後退したものの、ウォッチへの搭載に向けて研究開発が進められています。また、近年本格化してきたXRデバイス、特にAR端末において搭載が期待され、フルカラー化の開発に注目が集まっています。さらに、AR/VRデバイスではシリコンベースで形成されるマイクロ有機EL（OLEDoS）が台頭してきており、中国企業を中心に12インチ化が急ピッチで進められています。高価格なOLEDoSですが、大量生産化が実現することで、安価な製品ができ、将来のXRデバイスの普及に一役買いそうです。また、有機ELではこれまでにない大型拠点、第8.7世代工場の整備が始まります。同工場で生産される有機ELはIＴパネル向けが想定されており、今後タブレットやノートPCなどの有機EL化が期待されています。
　本書は、FPD業界をマクロ的な視点から、またこれに参入している個別メーカーのミクロなデータを一冊にまとめ、毎年ご好評をいただいているロングセラーです。主要FPDの網羅と、パネル別・各社別に市場戦略や設備投資計画、研究開発の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾・中国の最新事情も収録、世界のFPD産業を体系的にとらえた総合書に仕上げております。FPDメーカーおよび関連業界各社の取材・執筆・編集には、弊社が発行する『電子デバイス産業新聞』編集部が当たりました。

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■内容構成