■発刊趣旨とご購入のご案内

　蓄電池は携帯機器、車載、定置用電源、ドローン、玩具など幅広く採用されており、半導体や液晶ディスプレーなどと並んで馴染みのある技術です。車載向けは2016年11月の「パリ協定」の正式発効、それに50年までに温室効果ガス排出をネットゼロとする各国の野心的な取り組みを背景に、電気自動車（EV）やプラグインハイブリッド車といった電動車需要で急増していく見込みです。現在、中国・欧州市場をターゲットにリチウムイオン電池（LiB）大手や新興LiBメーカーが複数の「ギガファクトリー」を建設する計画を進めており、25年の車載向けLiB生産能力は現在の4倍に達する予測です。

　LiBは高エネルギー密度、高出力、高サイクル回数に対応した最も高性能な蓄電池です。現在、蓄電池市場に占める割合は4割ですが、22年には6割に達する予測です。一方、次世代蓄電池の研究開発も積極的に進められており、その本命とされる全固体電池の設備投資もスタートしています。今年からは国内電子部品メーカー数社が生産を本格化することから、勢いが加速していきます。また、早ければ22年にもEVに搭載される見込みで、車載向け需要はますます本格化するとみられています。

　蓄電池の供給サイドを見ると日本、韓国、中国が有力です。十年以上前は日本の独壇場でしたが、韓国、中国が急激に追い上げてきました。LiB部材では中国勢メーカーが急激にプレゼンスを拡大しており、4大部材のうち正極材、負極材、電解液で中国勢がトップです。ただし、車載向けでは依然、日本勢が強いのが現状です。加えて、集電体、バインダー、導電助剤といった4大部材以外では相変わらず日本勢のプレゼンスが強固です。
　定置用電源では住宅向け、業務・産業向け、系統・再生可能エネルギー向けいずれにおいても需要が拡大しています。蓄電池の主役はやはりLiBですが、系統・再エネ向けでレドックスフロー電池やNAS電池の導入が拡大していく予測です。再エネやスマートグリッドなどと連携し、系統安定化、出力変動抑制、周波数制御などに使われます。次世代蓄電池の有望株、ナトリウムイオン電池の採用も期待されます。

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■内容構成