■発刊趣旨とご購入のご案内

　2020年のプリント配線板業界は、当初期待された5G対応スマートフォン（スマホ）や基地局需要の盛り上がりで久々の明るい話題が先行しておりましたが、年初から中国・武漢発の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、先行きが一気に不透明な環境となっています。中国での大手EMS企業ならびに基板工場の操業再開が相次いで発表されていますが、肝心の車やスマホ市場における消費市場が落ち込んでおり、実際にモノが売れるのか厳しい状況と言わざるを得ません。
　しかし、一方で足元の厳しい状況下で新たな産業の芽が育つ気配もあります。感染症拡大対策として本格運用されだしたテレワークやロボット配送・サービスなどです。現在はまだ試行錯誤の段階かもしれませんが、今後大きな商流・トレンドに発展しないとも限りません。需要やニーズのちょっとした変化の兆しをしっかりと把握することが大事になります。
　中長期的には5Gという次世代通信が世界的に整備されることで、膨大で多様なエレクトロニクス製品の需要創出につながることが期待されます。
　今後は中華圏スマホメーカーへの波及も期待され、関連各社はさらなる事業拡大に期待を寄せています。高速で大量データの情報処理に対応したデータセンターの整備も期待されます。また、自動車業界もエコカー需要の拡大に加えて、先進運転支援システム（ADAS）などの搭載比率の上昇で、車への配線板搭載比率が増加傾向にあります。EV化や自動運転化の流れが加速しており、クルマの電動化は配線板業界にとっても中長期的に追い風となりそうです。
　これからもエレクトロニクス技術が社会に貢献していく構図は変わらないでしょう。その役割はますます重要になってきます。これは、配線板メーカーのみならず部材・装置メーカーにとっても新たな成長機会となります。
　本書『プリント回路メーカー総覧2020年度版』は、ビルドアップ基板、パッケージ基板、車載用基板といった成長分野を網羅しつつ、各社別に市場戦略や設備投資計画の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾などの最新事情も収録し、世界のプリント配線板産業を体系的に捉えた総合書に仕上げております。

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■内容構成