■発刊趣旨とご購入のご案内

　有機EL、液晶に代表されるFPDの2019年市場は、設備投資がひと段落し、増加した新工場による過剰生産の調整が入ることなどで冬の時代となったものの、液晶テレビではパネルを2枚重ねることで有機ELに劣らない漆黒の黒色を追求したり、有機ELでも韓国大手2社が独自の方式で生産する有機ELテレビへの注力姿勢を発表するなど、材料・技術の深化についてはまだまだ活発な動きが見られました。オリンピックイヤーとなる2020年は、前年の低迷から浮上する兆しが見え始め、21年には新しい技術による新しい製品を手にする機会が増えていくかもしれません。

　有機ELに続く次世代ディスプレー技術の開発も一層熱を帯びてきそうです。その最右翼と言われるのが、微小なLED素子を用いたマイクロLEDディスプレーです。ソニーが大型ビデオウォールとして先駆けて事業化し、サムスンも超大型マイクロLEDテレビの商用化を開始しました。また、早期商用化の観点から、マイクロサイズよりも少し大きいミニLEDを画素に用いたLEDディスプレーを手がける動きも活発化しており、オリンピックごろから様々なミニLED搭載製品を見かける機会が多くなりそうです。

　さらに、スマートフォンを中心とする中小型パネルにおいては、液晶と有機ELの市場の趨勢に注目が集まるだけでなく、5G通信の開始による各スマホブランドの戦略からも目が離せません。通信量が増大することで、モバイルサイズで持ち歩きができ、大画面での情報通信が可能な、フォルダブルディスプレーの進展にも関心が高まっています。

　本書は、FPD業界をマクロ的な視点から、またこれに参入している個別メーカーのミクロなデータを一冊にまとめ、毎年ご好評をいただいているロングセラーです。主要FPDの網羅と、パネル別・各社別に市場戦略や設備投資計画、研究開発の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾・中国の最新事情も収録、世界のFPD産業を体系的にとらえた総合書に仕上げております。FPDメーカーおよび関連業界各社の取材・執筆・編集には、『電子デバイス産業新聞』編集部が当たりました。

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■内容構成