■発刊趣旨とご購入のご案内

2018年のプリント配線板業界は、これまで市場を大きく牽引してきたスマートフォンの成長鈍化に加えて、米中貿易戦争で中国景気が失速、その影響は中国に生産拠点を持つあらゆる業種や企業に及んでいます。特に産業・ロボット機器などの生産調整が長引いており、車載需要も鈍化してきたことから、19年以降もエレクトロニクス企業は厳しい経営のかじ取りに直面しそうです。

　メーン基板分野では17年に大きな技術革新が起きました。従来、パッケージ基板で用いられていたMSAP（Modified Semi Additive Process）工法を用いた「SLP（Substrate like PCB）」が大手スマホメーカーで採用され、配線板メーカーのみならず部材メーカーにとっても新たな成長機会となりました。また、自動車業界もエコカー需要の拡大に加えて、先進運転支援システム（ADAS）などの搭載比率の上昇で、車への配線板搭載比率が増加傾向にあります。EV化や自動運転化の流れが加速しており、クルマの電動化は配線板業界にとっても中長期的に追い風となりそうです。

　20年に日本でも商業化を迎える第5世代移動通信システム（5G）は配線板業界に大きなインパクトを与えるとみられます。特に関連システムは高速伝送信号を扱うことから、配線板へも低伝送損失特性が要求されるようになり、従来の配線板材料とは異なる材料が普及してくるでしょう。なかでもフッ素樹脂や液晶ポリマー（LCP）などといった部材です。そしてこれらの部材を使った高周波対応基板の市場拡大にも注目が集まっています。

　本書は、ビルドアップ基板、パッケージ基板、車載用基板といった成長分野を網羅しつつ、各社別に市場戦略や設備投資計画の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾などの最新事情も収録し、世界のプリント配線板産業を体系的に捉えた総合書です。

　巻頭特集では、プリント／パッケージ基板に大きな影響を与えるアプリケーションや技術革新の最新動向を掲載。第1章では18～19年のプリント回路市場動向を総括・展望するとともに、成長分野である車載やパッケージ基板などの動向をまとめました。第2章では国内の大手・注目企業をピックアップし、業績・投資動向などをより詳細にレポートしています。第4章では台湾や韓国の基板メーカーの動向を扱いました。

　第5章では国内外のEMS企業の動向について収録しています。EMS企業の動向はプリント基板業界の動向を把握するうえで近年、重要度がさらに増しています。プリント回路を生産するうえで重要な装置・材料分野の動向を掲載した第7章では、銅張積層板や銅箔の動向をはじめ、LDI／DIなどの露光装置、さらにSMTマウンターの最新状況をレポートします。

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■内容構成