電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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2014/12/10(2121号)主なヘッドライン
SiCウエハー、低コスト化でクルマに照準
トヨタ「2020年」発言で現実味、基板・加工で新手法提案相次ぐ

 次世代パワーデバイスの基板材料となるSiCウエハーの低コスト化に向けた動きがより一層慌しくなってきた。契機となったのは、トヨタ自動車が「2020年に実車に搭載する」と具体的なスケジュールに言及したことで、本命市場ともいえる「クルマ」での普及拡大が現実味を帯びてきたことだ。これはサプライヤー各社の意識を大きく変え、状況を一変させる効果をもたらした。今後、参入各社から新たなコストダウン手法が相次いで提案されていく可能性は高く、新たな商機の獲得も期待される。SiCウエハーの現状と課題を探った。

 「雰囲気は一変しましたよ」―。そう話すのはSiCウエハーを手がける国内メーカーのマーケティング担当だ。SiCパワーデバイスを取り巻く市場環境は、これまで期待感よりも閉塞感の方が大きかった。再生エネルギーや電鉄など一部用途では採用が進んでいるものの、SiCパワーデバイスは当初期待されたほど、市場拡大が進んでいないのが現状だ。
 しかし、先述のトヨタの発言で一気に市場が活気づいてきた。同社は、すでに試験コースでSiCデバイスを搭載した試験車のテストを行っており、15年からは公道での実証実験も開始する予定だ。
 しかし、SiCのチップコストは、シリコンデバイスに対し、いまだに大きな開きがある。「最終的にシリコンとほぼ変わらない値段に下げたいはず」(SiCウエハーメーカー)といわれており、今後クリアすべきコストダウンのハードルは非常に高い。
 SiCウエハーのコストは大きく分けて、基板と加工(切断・研磨)、そしてエピタキシャル成長で構成される。基板に関しては現在、昇華法による結晶成長がメーンだが、他の結晶成長に比べて成長効率が悪く、コストアップ要因となっている。現在のところ大口径化や長尺化、高速成長などによってコストを引き下げていくのが現実路線となっているが、一部では結晶成長のそのものを見直す動きも出てきている。

(以下、本紙2014年12月10日号1面)



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