半導体商社、半導体不足で問われる存在感
車載用では重要性を再認識、商権移動リスクの備え必須
世界的に半導体不足が叫ばれるなか、半導体商社の重要性が見直された。自動車の半導体不足について、商社を利用する商慣習を持つ日系自動車メーカーのほうが、直取引主体の欧州自動車メーカーよりも影響が小さかったためだ。だが、半導体メーカー同士の大型M＆Aで商権が突然動くリスクに振り回されるのは今も昔も変わりなく、最近では商社の役割を明確に限定する半導体メーカーも出てきた。半導体商社がサプライチェーン内で存在感をさらに高めるには新たな一手が不可欠といえそうだ。
半導体商社の最大の強みは、半導体メーカーの手が届きにくい顧客まで広く営業＆技術のサポートを展開するネットワークにある。そうした意味で商社にとっては、多くのきめ細かな技術サポートを要する商材こそ「専門的かつ高度なサポート力を持つ商社の存在価値が活きる製品」といえ、半導体でその代表格といえるのがプログラマブルデバイスだ。
代表的なプログラマブルデバイスであるFPGAでは最近、CPU大手のAMDがFPGA首位のザイリンクスを買収する（完了は21年末を予定）という大型M＆Aが起きた。これは、15年にアルテラを買収したインテルの動きに倣うもので、FPGAを「AIアクセラレーター」として活用するのが狙い。ただ、FPGAの用途は産業機器や通信機器など、AIアクセラレーター以外の用途が圧倒的に多く、裾野が広いため、ここに商社が存分に活躍できる市場があり、顧客も商社の存在を求めている。
（以下、本紙2021年6月24日号1面）
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