新型コロナウイルスの猛威や米中摩擦の激化が世界を揺さぶった2020年、半導体業界では超大型M＆Aの嵐が吹き荒れた。調査会社の米ICインサイツの調べによると、9カ月のM＆A合計額は630億ドルに達しており、仮に承認待ちの案件が成立すれば1000億ドルを超え、過去最高だった15年の1077億ドルを上回る可能性もあるという。20年に成立または明らかになった半導体メーカーのM＆A案件をまとめた。

　いずれも未成立だが、エヌビディアによるArm買収が400億ドル、AMDによるザイリンクス買収が350億ドル、アナログデバイセズによるマキシム買収が210億ドル、マーベルによるインファイ買収が100億ドルと、20年秋以降に発表されたM＆A案件はいずれも巨額で、これら4件だけで1000億ドルを超える。コロナ禍や米中摩擦に伴う社会・経済状況の変化をとらえ、足らない技術や人材を手早く入手する欧米流のM＆Aが一気に浮上した。
　M＆A案件を見渡すと、次世代の通信やHPC（High Performance Computing）に関連した事業が非常に多い。GPUをコアに通信技術を補完してAI処理のさらなる高度化を図る考えとみられるエヌビディア、FPGAをAIアクセラレーターとして活用し、インテル＋アルテラ連合への対抗を狙うAMD、屋内位置測位技術の精度向上に不可欠とされるUWB（Ultra Wide Band）技術で先行を狙うコルボなどがこれに該当する。

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