去年の12月、出張で山口県に赴いた。その際に、取材場所の近くに位置していた湯田温泉に宿泊することにした。湯田温泉というのは、その昔ケガをした一匹の白虎が毎晩傷を癒しにとある小さな池までやってきており、村のお寺の和尚さんがその池の水をすくってみると、水が温かったことから温泉が発見されたそうだ。その歴史から、駅前には白虎のモニュメントやポストなどが置かれていた。

　温泉というのは旅館でしか楽しめないというイメージがあるが、湯田温泉ではビジネスホテルでも温泉を設けているところが多い。筆者もごく普通のビジネスホテルに泊まったのだが、しっかりとした大浴場が設けられており、リーズナブルでありながら温泉を楽しむことができた。また湯田温泉エリアは、様々な飲食店が立地しているため、ビジネスホテルに泊まっていても瓦そばといった名物料理が楽しめるのも魅力だ。

　今回の出張で、筆者は人生初めて山口県を訪れたわけであるが、実は様々な観光資源があるということが分かった。山口県は明治維新にゆかりある地であり、萩市では「明治維新胎動之地」としても知られているそうだ。さらに山口市では、西郷隆盛や大久保利通、伊藤博文といった歴史上の人物たちが倒幕に関する密儀を交わしていた「枕流亭」などもあるそう。下関市は、かの有名な高杉晋作が亡くなった地であり、また多くの明治維新の志士たちが眠る「東行庵」もある。歴史好きの人は一度訪れてみてはいかがだろうか。

　山口県の特徴をもう一つ挙げるとすると、それは総理大臣を8人も輩出しているところだ。なんとこれは全国でもトップらしく、初代総理大臣の伊藤博文を筆頭に、昭和に入ると佐藤栄作、平成では安倍晋三といった総理大臣が出ている。なぜ多いのかは正直言って分からないのだが……。

　さて、そんな山口県内では、宿泊施設の開発も徐々に進んでおり、大きい案件で言うと「（仮称）星野リゾート リゾナーレ下関」が2025年秋の開業を予定している。星野リゾートが山口県内で運営する施設は、長門湯本温泉にある「界 長門」に続き2施設目となる。近くに広島県や福岡県があるため、大きい宿泊施設が進出しづらいという側面もあるが、豊かな観光資源に恵まれていることからも今後の宿泊整備に期待したい。