電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第377回

セリアが電極接合技術でブレークスルー


グラビア印刷で30μm径・狭ピッチ実現

2020/11/20

 (株)セリアコーポレーション(セリア、東京都北区東田端2-4-4、Tel.03-3800-3911)は、グラビアオフセット法を使い、30μm径/60μmピッチの狭ピッチマイクロはんだボールの搭載技術を世界で初めて確立した。リモートワークの普及やビッグデータ/AI技術の台頭でデータ処理量が爆発的に増加するなか、急増する最先端のサーバー向けCPUやグラフィックス/AIチップなどの先端ロジック向け次世代電極接合向けに注目されそうだ。

 開発はアスリートFA(株)(長野県諏訪市)と共同で行い、セリアは狭ピッチを可能にするフラックスペーストの微細印刷工程を担い、ボール搭載~検査/リペア工程をアスリートFAが担当した。

印刷位置精度を±5μm以下(3σ)を実現

 はんだボールは、フリップチップ実装のバンプ、パッケージ基板のBGAなどに利用されている。デバイスの小型化に伴い、はんだボールも小径化、狭ピッチ化が進行し、現在は45μm径/90μmピッチが最先端となっているが、AIや高性能グラフィックスチップなどの登場により、より多ピン・狭ピッチ化の流れにある。既存のスクリーン印刷技術では、さらなる微細化には限界があるため、新たな工法などが求められていた。

 今回セリアが開発した技術を使えば、フラックスのドット径が10μmまで微細化できるため、さらなる高性能チップの超狭ピッチ化ニーズにも対応可能となり、既存のめっきなどによる電極接合技術を代替する可能性もある。

 ボール搭載の実証実験では、12インチウエハーの8mm角チップ852片上に、30μmφ/60μmピッチの電極を配置した。電極の総数は約1000万個となった。

 印刷位置精度は±10μm以下が必要だが、同社の技術を適用した場合、ウエハー全面での印刷位置精度±5μm以下(3σ)を実現した。歩留まりも量産時には10ppm以下まで抑制する計画だ。(図参照)
「印刷位置精度の比較」
「印刷位置精度の比較」


 フラックスペーストを電極上に載せる必要から、小径化に伴って印刷位置精度も高精度化が要求される。ウエハー全体で許される印刷位置精度は、電極径の±1/3以下でなければならない。たとえば電極径が60μm径ならば、印刷位置精度は±20μm以下が必要になる。最新のスクリーン印刷では各種条件の最適化、補正手段を用いることにより、なんとかこの数値を実現している状況だ。さらにバンプの小径・狭ピッチ化が要求された場合、既存の最先端のスクリーン印刷では印刷位置精度を高精度に維持できるか、専門家の間では疑問視されている。

 今回開発したグラビア印刷法では、1枚のウエハーを印刷するのに要するタクト時間はブランケットの乾燥時間を入れて約3分。生産量は、12インチウエハーで15~18枚/時を想定しており、量産ラインでの適用を見込む。導入コストもめっきラインに比較して十数分の1程度と、大幅なコストダウンが可能とみる。

 セリアではサンプルやテストなどの依頼を随時受け付けており、対応するグラビアオフセット機の受注も開始した。顧客ニーズに応じて装置構成の変更にも対応し、納期は5~6カ月を見込む。

めっきからグラビア印刷に「ゲームチェンジ」も

 マイクロボールを搭載するには、ウエハーの電極上にボールを仮固定させるためのフラックスペーストを印刷する必要があるが、現在スクリーン印刷が担っている。しかし、既存のスクリーン印刷ではメタルマスク(版)をスキージで押さえつけながら、ペーストを印刷していくため、版が反ったり歪んだりして正確な印刷ができず、微細化には限界があるとされる。このため、量産時で安定的に印刷できるフラックスペーストのドット径は45μm、ピッチは90μm程度が限界とされる。

 さらなる微細化にはスクリーン印刷法では限界があるため、セリアコーポレーションはグラビアオフセット技術の適用に着目した。グラビアオフセット印刷では、メタルマスクを使用しないため、版の歪みが原理的に発生しないからだ。

 しかし、そのグラビアオフセット印刷にも問題があった。グラビアオフセット印刷は、ペーストに含まれる溶剤をシリコンブランケットが吸ってしまう膨潤という課題がある。これを同社はフラックスペーストについて、グリコールエーテルを主溶媒としている構成に替え、従来のAgペーストに比べて膨潤を抑制した。さらに、印刷直後にブランケット表面に熱風をかけることで溶剤を飛ばし、連続安定性を確保することで、これらの難問を解決した。

 もともとセリアコーポレーションの親会社である小森コーポレーションは、大型のオフセット印刷機を製造している世界有数のメーカーである。グラビアオフセット印刷機の心臓部である円筒シリンダーの鋳造、加工技術においても製品を一から見直し、円筒シリンダーの真円度、振れ精度管理はもとより、高印圧がかかった時の構造解析、軸受け構造も徹底的に解析して新製品・新技術の確立につなげた。

 グラビアオフセット印刷はもともと微細な印刷を得意としており、ドット径はφ10μm程度まで形成可能としている。長らく続いた、「極小バンプの電極接合はめっき」という業界常識を根底から覆す画期的な技術といえる。量産適用の時期が注目される。

電子デバイス産業新聞 編集部 副編集長 野村和広

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